前衛画家の大きな冒険 瑛九/松涛美術館

抽象画は、あまり好きではない方なんですが、瑛九という人の丸や点の絵は、近代美術館の常設展で初めて見て以来、気になっていて。
最晩年の3年間に描いた油絵の大作がメインで、それらが天井の高い松涛美術館のゆるやかな半円のカーブを描く壁面に、それほど間を置かずズラリと並べられていましたが、それは
「あの絵を外に出して、森のように囲み、その中にぼくはいたい」
という彼の病床でのつぶやきの、制約のある中での精一杯の再現なのだろうかと勝手に妄想。

そして、アニメではなくマンガの風の谷のナウシカのラスト近く、
「違う。命とは、闇の中にまたたく光だ!」*1というセリフを何故か思い出しました。決して暗い色使いでばかりではないのですが、常に闇が潜んでいるような。そして、形は定まっていないけれども生き物のような。

一点、一点を近くで見つめるよりも、ちょっと離れたところから全体をずーっと眺めていました。
サイト:http://www.dnp.co.jp/artscape/exhibition/pickup/0408_12.html#p12_01

*1:「命とは一点の影もない、輝く光そのものだ」みたいなセリフに対するナウシカの答え。アニメはマンガ全7巻の2巻分に過ぎず。アニメのような自然との共存とか、そんなヌルいテーマじゃないです。絶望の中でも生きろという話。