草間彌生―永遠の現在/東京国立近代美術館

 森美術館のクサマトリックスでは、よく分からなかった。でも、この展示会では、草間彌生をスゴイと思えた。
 70年代のコラージュ作品。それぞれ別の場所から寄せ集められた素材が、一つとして浮き上がることなく、見事に混然一体となって彼女の妄想、というかイメージの世界として完成していた。それってスゴイことだと思う。暗い、得体の知れない世界。
 大掛かりでお金のかかっていそうなインスタレーションより、1人でコツコツ、悶々と作りあげたんだろうなといった感じの平面作品の方が、私には迫力あるように思えた。
 ただし、銀色のオブジェの部屋は別。これまで単品で、男根がニョキニョキ生えたイスやらはしごやらを見てもピンとこなかった。けれども、部屋全体がそれらのオブジェで設えられると、あー、これは終わらない彼女の夢の中だろうか、と思った。白い悪夢。
 それはそれとして。
 若いころの彼女のセルフヌード写真を見て、『プリシラ』に出てくる、得体の知れない日本人女性は、彼女のイメージではなかろうかと突如、思い至る。プリシラ [DVD]オーストラリアのど田舎町の酒場で珍芸パフォーマンス付きストリップをするのが趣味という、金きり声でしゃべりまくる女性。
 西洋人の日本人、またはアジア人女性観って、未だにこんなものだろうか???と考えさせられた衝撃のエピソード。あまりにその女性の描かれ方が、理解不能な生き物(珍獣と言っていいような)状態で。
 女優の顔立ちもそうですが、かつて彼女がNYでやっていた「ハプニング」も、ストリップと言えばそうだし、エキセントリックなところとか、ボヘミアンで、かなり年の離れた白人男性とお付き合いしていたところとか、共通点が多い。
 複雑な気持ちになる。