ベルギー象徴派展/Bunkamura ザ・ミュージアム

戦闘美少女?

19世紀末の新興国ベルギーに起こった潮流。パンフレットに書いてあるキーワードを羅列すると

メジャーではない、排斥されたもの。青空の下の観察よりは、部屋に篭っての夢想。逃避的で幻想的な世界。その背景には、(人類がはじめて経験する産業化のなかで進行した)人間疎外…

 となるが、そういった状況下では、エロ全開で男を誘惑しまくる女性か、強くかつ可憐な戦闘美少女的なモノを描きたがるというのは、洋の東西を問わない現象なのだろうか?という素朴な疑問。

 
 フェリシアン・ロップスの『魔性の女たち』三部作の中の「偶像」。悪魔を思わせる立像に、裸の女性が両手両足でがっぷりと抱きついて交わるの図。

 当時、キリスト教を冒涜しているとかで、かなり問題になった作品(この1点に限らずですが)らしい。だが、キリストとは語源をさかのぼると「油で聖別された者」という意味だったはず。

 どーして「油で聖別」されたものなのか。ギリシャの昔、神に仕える巫女さんは、豊穣の儀式として、神像と交わった。その際、すべりをよくするために神像の部分に油を塗ったってことで。

 だから、ある意味では正しい図なんじゃなかろうか、なんて異教徒は思ってしまったり。
 
 ロップスのダークさは別格として、全体にメランコリックでモワモワ、ナヨナヨしたタッチの多い中、ジェームズ・アンソールのどぎつい風刺画っぽい作品が目を引いた。庭園美術館に行きたくなってしまった。今、彼だけの企画展をやっている。
 
 また、昨年、ブリジストン美術館で見逃したレオン・スピリアールトが、沢山入っていてよかった。黒を基調としたシンプルな構図で、シュールな悪い夢を見ているような感じの絵。