円山応挙展<写生画>創造への挑戦 /江戸東京博物館 

 解説等々では、ありのままの姿を緻密に描いたことを評価してるようなのだが、私はちょっと違うと思った。パーツ(牡丹の花だけ、孔雀だけ)は緻密で正確なのだけれど、絵全体は実際には在りえない組み合わせというか状況がほとんど。だからパーツの描写の的確さプラス、コラージュの妙、構成の妙が飛びぬけているということかなと。パーツは写生といえるけど、絵全体は写生とはちょっと言いがたく、頭の中のイメージを形にしているとでも言うか。でも、それって日本画全体に言えることなのか。勉強不足ゆえ、本当のところは良く分からない。
それにしても、狗子図(子犬の絵)は現代ならば「くぅーちゃん」か。江戸時代の婦女子もきっとこの絵を見て「かわいい〜」と目じりを下げていたのだろう。

 図録¥2,500を購入。高いと言えば高い。けれども、先のマルモッタン美術館展が半分以下の薄さで¥2,000であることを考えるとかなりお得。展示入れ替え回数がとても多く、見られなかった作品もちゃんと収録されているところもいい。