パリ/マルモッタン美術館展 / 東京都美術館

 モリゾ、モリゾ。ペールトーンのモリゾ。つまり日本ではメジャーでない彼女の作品をまとめて紹介するために、メジャーなモネその他を抱きあわせしました、という企画。なので、他の作家の作品も全般的に彼女のトーンに合わせたようなモノが多かった。それにしても、19世紀生まれのお嬢様志向作家はペールトーンがお好きなのだろうか。ローランサンとか。
 モリゾの絵はとにかく上品。ブルジョアのご家庭に育ち、自身の家庭生活にも恵まれ、上流夫人が絵描きになるなんてトンでもない時代においても、夫公認で描き続け、別荘やら、そのお庭やら、かわいい娘やら、飼い犬やら、舞踏会の衣装やら、自分の身近な穏やかで豊かな生活を描いている。きっと好きになる人も多そうだ。でも、私にとってはイマイチ。
 モネの晩年のウネウネした得体の知れない蟲のようなタッチの絵「日本の橋」は、ある意味ゴッホの糸杉、星聖夜に通じるものがあるような。