水の協奏曲

ピーター・グリーナウェイ+マイケル・ナイマン 短編傑作集 水の協奏曲 [DVD]
 ピーター・グリーナウェイマイケル・ナイマンのゴールデンコンビ(私が勝手にそう思っているだけですが)による短編映像集。

 水の協奏曲というタイトルに、このブルーがまぶしいジャケット。夏にふさわしい、なにやらさわやかな作品をイメージしてしまいますが、全くそんなことはなく。他の2人の作品と変わらない、偏執的な作品。映像と音楽が、がっぷりと組んで、どっちも譲らず拮抗している。

 『Making a Splash』の初っ端から、ありとあらゆる水の流れるシチュエーションを細かく刻んだ映像と、音楽がピッタリと合うシーンの連続技に「キター!!!」と、つい心の中で小躍り。裸や裸同然の人(水着)が、大量に登場してうごめくのもお約束。

 次の『26 Bathrooms』も、数字(バスルームの数)と、そのシチュエーションの一部をアルファベットで強引に対応させるやり方は、二人の場合に限っては、取り立てて斬新な手法でもなんでもない。

 そういう一定のパターンを使いまわしながら、でも、何度でも観させることができるところが、スゴイところであるなぁと改めて。ある意味、モンティ・パイソンの世界に通じるものがあるかも。皮肉っぽいところも含めて。あっちはギャグでこっちはアートという割り振りをされてますが。

 『Fear of Drowning』は、映画『数に溺れて(Drowning by Numbers)』の意図というか、あんなところやこんなところまで(絵画等からの)引用してます、全てに意味がありますと、ピーター・グリーナウェイ自ら薀蓄語りまくり状態で、関心する…を通り越して、呆れる寸前状態。頭良すぎて嫌味だよ!それとも、この過剰さはむしろギャグなのかしら?と、いらんことまで考えたくなる。

 それにしても。

 『Making a Splash』の後半に登場するような、マイケル・ナイマンの曲、ピーター・グリーナウェイの演出で、イギリスはシンクロナイズドスイミング(団体)にエントリーをしないかなぁと。絶対に面白いと思う。徹底したシンメトリーさや、幾何学模様に拘って。一方、水中で演技をする人間(肉体)自体の奇妙な美しさを。健康美はないけれど。