サンタ・サングレ〜聖なる血

サンタ・サングレ 聖なる血 [DVD]
 前の2作(『エル・トポ [DVD]』『ホーリー・マウンテン [DVD]』)同様、強烈な映画。色々と思うところがてんこ盛り状態。
 ですが一番はやはり、母殺し、または親から子への呪いでしょうか。
 大好きな母親を苦しめた、性的魅力にあふれた女性(娼婦とか)達を、主人公の男は殺し続ける。ただ、正確に言うと苦しめたのは父親でして、怒りをぶつける相手が間違ってるんですが。母親は最終的には夫である父親に怒りをぶつけてますし。
 結局、幼馴染でもある聖少女(聾唖者で顔が白塗り)の助けにより母殺しを実行、救われるというオチ。
 …あれ、なんか腹が立ってきた(笑)。大人の女性には暴力という甘え、無抵抗のロリには癒しを求めるダメ男みたいに思えて。
 母親の殺せ殺せの命令(実は男の妄想)に苦しむあまり、透明人間になりたいとまで追い詰められて、見ている最中はかなり同情していたのに。文章にしたら、違ってくるなぁ。
 まぁ、両親があんな死に方をしたら酷いトラウマになるのは当然なのですが。
 ラストについては色々あるようですが、私はあれでよかったと思います。妄想の世界を抜け出しただけでなく、男がちゃんと現実に折り合いをつけることになるだろうということで。
 しっかし、父と子の悪夢の地獄めぐりのような因縁話の映画に必ず息子を出演させて、監督の息子さんはどんな気持ちなんでしょうかね。とても美形。
 両腕を失った母親と主人公との二人羽織のような演技は美しいです。手の動きが特に。本当に一人の人間のように見えました。