藤原新也写真展「フェルナンド・ペソアの午後」/新宿エプサイト

 地下鉄のフリーペーパーに連載されている、藤原新也の写真&コラムをちょっと楽しみにしている。去年末、この写真展についての経緯に関するコラムがあった。
 写真展をやるにあたって写真をどう見せるのか、見せたいのか。藤原氏の熱意が伝わる文章だった。藤原氏のサイトには、そのコラムの簡易圧縮版みたいな内容が載っている。
 とつぜんのごとく写真展をはじめます(http://www.fujiwarashinya.com/talk/2004_1210.html)より

ポルトガルの田舎で没落貴族の家に泊まったんだよ。家庭がホテルになっているので、ロビーがない。リビングがロビーになってるんだな。リビングの隅に古いライティングデスクが置いてあってそこに今にも死にそうな婆さんが一人座っている。この家の主だ。ライティングデスクがカウンター代わりになっていて客はそこで記帳する。
  リビングには応接セットが置いてあって、客はいっときそこでくつろぐわけだが、この時間の止まったような感じが実に良くてね。ついうつらうつらするわけよ。見ると婆さんもうつらうつらやってる。そんな眠けのオーラが充満している感じの中で目を壁にやると結構いい絵があちこちに架かっていて、それをぼんやりと見ている。
  あの感じを思い出したんだな。
  あんな感じの写真展を開けないかって」

 …で、その雰囲気を再現するにあたって、重要なのは壁紙ということで、最初は壁紙そのものを探そうとするも、現代日本で同じようなもの(しかも、数日のうちに!)を入手するのはムリと判明。
 諦めそうになるも急遽、19世紀の図像をスキャンして、インクジェットプリントでオリジナル壁紙を作ってしまうところがスゴイ。(エプソンプリンターのいい宣伝になるという、あまりにも出来すぎたオチではありますが)
 実際、見てきて「面白い」と思いました。大小5つ、それぞれ使用される壁紙、および雰囲気の違う部屋があります。
 エプサイト:http://epsite.epson.co.jp/