幻のジャクリーヌ・コレクション ピカソ展/損保ジャパン東郷青児美術館
予想外の人手の多さと、会場内の蒸し暑さで気分が悪くなる。
それにしても。
ピカソが芸術家としてどれだけ世の中的に偉大であるかどうかはさておき、私がイマイチ好きになれない理由が今日、やっと分かった気がした。
対象に対して、愛情が感じられないから。決して、ヘンテコな像だからではなくて。
女性像が特にそうなんだけれど、ピカソの俺様節、つまり「俺って才能あるだろ。どんな素材も俺色に染まるのさ。俺って上手い」が聞こえてきそうで。妻、恋人、愛人と沢山の女性に一生涯囲まれて、恋多き男性だったみたいだけれど、生身の女性はそれほど好きではなかったんじゃないかなと想像してしまう。俺様のための芸術のテーマ、イメージの源泉、素材として好きだったというか。で、モデル当人の思いと無関係に彼は俺様節で料理しちゃうのね。
で、このジャクリーヌという人は、ピカソの2番目の妻で、親子以上に年の離れた若い女性で、彼の人生においていわゆる「最後の女」、最晩年を支えた人なのですが。
展示品がたまたまそうなのかもしれませんが、彼女をモチーフにした作品群だけは、ちょっと雰囲気が違うように思えまして。なんというか、ピカソが少しひれ伏してる感じ。じゃ、愛があったのねというのとも違う。
いよいよジーさんになってオスとして終わりの季節、20代の若くてキレーなネーちゃんを手に入れられるのはコレが最後だろう、という彼なりの焦りというか、逆にジャクリーヌさんはそのヘンを知り尽くした女で、彼を手なづけている感がするというか。老いと若さの力関係。で、彼女の御姿は常に堂々として、神々しい女神のようなのです。
良心的な美術関係者は「老境にさしかかって、円熟の…」と表現するのかもしれませんが、私はひねくれているので、こんな風に思ってしまうのですよ。はは。
サイト:http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html
10/24(日)まで