エル・トポ

エル・トポ [DVD]
アマゾンがなぜかアレハンドロ・ホドロフスキー DVDボックスを激しく薦めてくるので、どれか一つ観てみようかなということで。
象徴的なカットと、寓意がこめられているであろうストーリー。だから見る人の数だけ解釈の余地がありそうですが、あのラスト、私は絶望とは思いませんでした。もちろん、ハッピーエンドでもないけれど。
賽の河原の石を積むが如くだったとしても、何もしなかったよりずっといい。1000回叩いてダメでも1001回目で崩れる岩もある。これは1000回のうちのどれか一回の話。音楽が妙に明るく高らかなのも、突き進んで散った魂と、再び螺旋階段的に繰り返されるであろう主人公の息子の次の物語を讃えているのだと勝手に解釈します。
または、人生に特別な意義や、意味なんて与えなくてもいい。ジタバタしながら、精一杯、生きることだけで充分だ、とか。一粒の麦も撒かれなければ、何万もの粒になることもない。
それにしても音楽。最初、かなり違和感があったのですが、明るい青空と強い太陽の日差しと、その下で繰り広げられる不条理で悲惨な物語とのギャップをつなぎ止めてているかのような。主人公の男がすっぽりと黒装束なのも、彼の存在自体が太陽で出来た影のように見える。
全体的には『神に選ばれし無敵の男』以前のヴェルナー・ヘルツォークにラテンの血が入った感じを受けたけれども、ラストでなぜか『太陽を盗んだ男』を思い出した。あれも、私の中ではたとえ破滅へ向かうとしても進め!自分のために生きろ!という映画です。原爆作って他人を巻き込むのは人の道を外れてますが、そーゆーことは置いておくとして。
マンガの『ヒミズ』もエル・トポがモグラの意であるのと同様にモグラの名前であることから、闇の中を太陽を求めてもがく話ではあるけど、結局、何もなさないまま死んでしまうので、より全く救いがない気がします。
それにしても。
なぜこのレンタル店では、カテゴリがゲイ・ムービーなのだろうか???そういうシーンも少しあるけど、それがテーマではないと思うが。同じくマイケル・ムーアの一連の映画もコメディの棚に。確かに笑わせてくれるけど…それとも一般的にはそういう受け止められ方なんでしょうか。