牛乳には危険がいっぱい?

 牛乳には危険がいっぱい?
 一番主張したい部分は、それほど間違っていないと思う。ただ、世間の目を覚まさせたい!という熱意のあまりに、かえって論理的でないところもあって、その辺の読みは注意が必要かもしれない。一歩間違うとトンデモ本紙一重。特に、牛乳と乳脂肪の弊害は、話がごっちゃになってる感あり。*1また日米の環境の違いも踏まえつつ、根拠となるデータはもっと詳しく出して欲しかった。その分、文字も大きめで、広く一般に読みやすい構成にはなっているのだが。
 一番の主張は多分「牛乳は仔牛の飲み物であって、人間にとっての完全な食品ではない」ということだと思う。アメリカ人がアメリカ人のために書いた本だけれど、乳業業界と政府と一丸となって健康のために牛乳を飲みましょうキャンペーンを行って、過剰な牛乳神話が作られた状況は日本も同じ。だから、牛乳を特別視するのはおかしいという主張は賛成。元々、牛乳と母乳の組成がかなり違うことを考えると、乳幼児に与えるのはやめるべきというのは納得。大人も牛乳を飲まないと骨がボロボロになると強迫観念から、牛乳が体質に合わない人まで無理に飲む必要もなし。他にいっぱい方法はある。
 牛乳に限らず、何でも過剰に摂取すれば弊害が必ずあると考えるのは多分、間違いないと思っている。ほどほどが一番。何かが健康にいいという発表があると、パッと飛びつく団体やらメーカーやらがいて、あっという間に製品化されるけど、数年後に過剰摂取による弊害報告が学会等で発表されると、静かに黙って引き上げるのが食品業界のパターン。例えばリノール酸とか。弊害については絶対に、宣伝しないからね。
 それにしても。
 改めて数字とか、解釈ってまぁ色々取りようがあるなと。例えば、この本を読んで日本人の乳糖不耐症の割合が85%となっていて、ビックリ。昔、乳製品協会が出していた数値は20%くらいだったという記憶があったから。ささっとネットで国内サイトを調べても10〜80%と、恐ろしく開きがある。要は、牛乳推進派は低め、そうでないところは高めの数値を持ち出しているような。本当は、日本人ってどのくらい不耐症なんでしょうか。素朴な疑問。
 同じようなのに、牛乳(乳製品)のカルシウム吸収率もある。一般には牛乳>小魚>野菜の順に有意でいいとされているけれど、実はたった10人の被験者の平均値データ*2が元ネタいう話もあって、そんなの統計的に有意があるといえるのか?とか。牛乳を巡る動きって、どっちの立場もなんかこう胡散臭さがチラチラしてて、だからこそ興味深かったりもするのだが。

*1:アメリカ人は牛乳および乳製品の摂取量が日本人のそれと比べると遥かに多いという事情の違いもあるのかもしれない。

*2:しかも、個人差がかなり激しい数値の平均