お嬢さまことば速修講座

お嬢さまことば速修講座
 「お嬢さまはコーヒーではなく、お紅茶を召し上がるものです」(美化語の“お”がつけられないから)「『個性的に装っていらっしゃる』と言われたら『おかしなかっこう!』という意味でございます」などなど、いたる所に“名(迷)言”がちりばめられていて笑わせてくれます。けれども、思いのほか真面目&一部実用的な本でございました。
真のお嬢さまとは一体、何者なのか?この本でははっきりと定義されていないのですが、多分こういうことなんだと。
1.健全な自己肯定感を持っている。
 偉ぶるわけでもなく、卑屈になるでもなく常にニュートラル。「○○でなければならない」という心の縛りもない。
2.相手の立場、公私の区別、状況に応じた表現ができる
 いつでも上品な言葉を使えばいいってもんじゃない。流行語もくだけた言葉も、それなりに使いこなせる。(ただしインスタントお嬢さまはやるとすぐに「お里が知れてしまう」ので、お嬢さま言葉以外の使用は当面止めておけとご指導されていますが。)
3.自分の言葉に責任を持っている。
 聞いても無意味なこと、一瞬の感情で思ったことなどは、しゃべらない。常に自分の判断で、最初から最後まで明瞭に語ることができる。
 …と、その精神はかなりまっとうです。ですが、全ての言葉遣いを本書の通りに実行するとなるとかなり難しい上、『エースをねらえ!』のお蝶夫人になってしまいます。あれが許されるのは松本莉緒ちゃんぐらいなものでしょう。
 とり合えずインスタントお嬢さまの第一歩として、「すみません」の代わりに「恐れ入ります」「申しわけございません」「失礼いたしました」「どうもありがとう」と言えるようになりたいと存じます。*1以前から「すみません」は大変便利な言葉ではあるけど、単なる呼びかけの時でも、謝ってるみたいでもあるし、悪いことをしたときも、形だけ謝りたいのか、本気で謝りたいのか、いやいや実は感謝の気持ちを述べたいのか、それが全てごっちゃで曖昧で、言っている自分自身、何が本当は言いたいんだろうか状態。つまり、自分自身、居心地悪い言葉だったのですが、この本を読むことで「それぞれハッキリ言ったほうがスッキリしそう」と、単純な結論に思い至った次第なのです。

*1:お嬢さまは、「思う」のことを「存ずる」と言うのだそうでございます。