足立美術館の魅力展/横浜高島屋ギャラリー

 まだまだ世の中には知らないことが沢山あるのだなと、今日また思ってしまった。「足立区美術館にどんな魅力が?」忙しいけれども心優しき友人から、招待券をいただいた時にこう思ってしまった。バカです。島根県にある美術館です。同時に足立区の皆様、ごめんなさい。
 そしてアメリカ発世界37ヶ国で発売されている「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」なる日本庭園専門誌*1があることも知った。大学や造園関係者が購読しているらしい。この足立美術館は、その雑誌の庭園ランキングで堂々の一番に選ばれている。知名度ではなく、庭そのものの質の高さ、建物や周囲の環境との調和が評価されたらしい。
 高島屋ギャラリーに入ると、真っ先に目に入るのはそのお庭を映し出したスライドショーだ。目を見張る美しさ。日本庭園の岩が、こんなにキレイだと思ったのは初めてかもしれない。刈り込まれて手入れの行き届いたつつじ、松、苔、そして岩と借景になってる背後の山のバランスが絶妙。美術館の窓から眺める庭も、琳派の絵のように計算されつくされている。
 更にコレクションの方も、スゴイ。個人で好きだと感じたものを収集していたそうだが、とても趣味がいいのではないか。
 個人的によかったものは。
 ‐川端龍子の「愛染」(青い水面一面に浮かぶ真っ赤な紅葉と、おしどり2羽の描く金色の弧が目に鮮やかに残る)
 ‐榊原紫峰「菊花」(小鳥が2羽、野菊の中に。小鳥がなんだかシットリした日本画調というより、乙女チックでラブリーな風情。なんだか「ソレイユ」とかの大正時代のイラストを思い出してしまった)
 ‐上村松園「娘深雪」(この人の美人画は、どれもとても美人だけどお人形じゃない感じがいい。解説では「恋人を想うウブな乙女心」云々とあるが、分かっていない(笑)。それだけじゃないですよ。この表情は。
 陶器も含めて100点あまりもあるので、これ以外にもよいものは沢山。穴場展示会かもしれない。
 じゃ、こんなスゴイ美術館だれが作ったのか。このお方、足立全康氏です。「ワシの人生は絵と女と庭や」と生前に豪語されていたそうです。風貌からして、並のジジイではありませぬ。17日(月)まで。

 横浜高島屋催しもののご案内:http://www.takashimaya.co.jp/yokohama/event2/index.html
 足立美術館http://www.adachi-museum.or.jp/

*1:なぜ、日本の出版社からこういう本が出ないのかも不思議だ。