ソウル見聞録③

●市場を爆走する改造バイク

後部シートに鉄パイプの自家製荷台を取り付けた改造バイクが、南大門市場の狭くて迷路のような道を走る、走る。危ないです。しかも日本ではスポーツタイプのようなバイクも容赦なく改造されております。自家製なので荷台の形はさまざまなのですが、基本は止めた時に荷物の重さでバイクがこけないよう、オリジナルつっかえ棒が装着できるようになっている点。(下の部分)大体、ライダーの背中あたりの鉄パイプが二重になっていて、止めると同時に中からスルスルスルと、つっかえ棒用の鉄パイプを引き出して(上の部分)、下にはめ込むようにしているみたいです。ライダーのほとんどは中年オジサン。でも格好はオシャレです。黒皮で全身キメキメだったり。

●ソウルでお抹茶

 明洞の中にあった抹茶専門店にて。緑茶と抹茶、更に抹茶ラテに抹茶パフェ、抹茶ティラミス、抹茶チョコetc…と、とにかく抹茶づくし。更に緑茶(香りだけ?)石鹸とかシャンプーなんて雑貨も売っている。ガラス張りの2階建ての建物に、白と黄緑を基調としたこじゃれた作り。調べた限りでは緑茶はともかく、抹茶飲用の歴史は韓国にはないようなので、*1、多分、日本からやってきたブームのようなものなのかなと。
 この前までに伝統茶とか屋台のお菓子とか韓国的なものを一通り試したこともあって「このあたりで、ちょっと毛色の変わったものにチャレンジしてみよう」という気になって入ることに。
 お抹茶は右手の白い急須から熱々のお湯を注いで、目の前で店員さんが点ててくれました。日本人が相手だからか、若くてかわいらしい店員さんは、茶筅を動かしている間中、とても緊張しているのが伝わってくる。こちらはこちらで、店員さんがなんだか痛々しくて夫と二人、彼女が点て終わるまで沈黙したまま、茶筅の先を見つめるだけ。けれども彼女の茶筅さばきは、取ってつけたようなものではなく、ちゃんとしておりました。緊張しつつも丁寧に丁寧に時間をかけて、キメの細かいキレイな泡で、ちゃんと真ん中がふんわり膨らむように、最後にキュッと穂先を回してフィニッシュ。このとき、ぱっと笑った顔がとても印象的でした。(それを見て、こっちも一安心できたというか)ダマもなく、滑らかなお味でした。お茶菓子として、抹茶クッキー2枚付8,000ウォン(約750円)也。なぜか、帰り際に緑茶石鹸をサービスでくれた。
●謎の高級魚

ロッテ百貨店の食料品売場の一角を、一種類の魚だけが占めていた。(写真左)*2新世界百貨店でも全く同じようなコーナーがある。黄色のビニール紐に10匹単位でくくられ、20,000ウォン(約1,800円)から上は50,000ウォン(約4,800円)。だいたい、食料品は日本の七掛けくらいであることを考えると高級魚ということになる。それをソウルのおばちゃんたちがドシドシお買い上げになる。お買い上げが決まると、店員は黄色い紐をはずし、背びれと尾びれをはさみでザクザク切って袋に詰めて渡す。
 一体あの魚は何だろうと思っていたら、その夜食べた韓定食(宮廷料理のフルコース)に同じ魚が出た。(写真右)*3塩焼きで、淡白なお味。日本に戻って調べてみたところ、どうもイシモチという魚らしい。韓国、中国では高級魚・おめでたい魚で、特に韓国ではお歳暮に欠かせないとか。しかし日本では、かまぼこの原料、つまり安い魚らしい。うーん。ところ変われば。

●その韓定食屋「高麗亭」だが

 某有名ガイドブックの地図に誤りがあった。雨の中、30分以上も道に迷って予約に遅刻した挙句、本来ゆっくり時間をかけて味わうべき高級料理(45,000ウォン=約4,200円/人 30分の韓国舞踊ショー付き)を、あわててかき込まねばならなかった私たちのような悲劇を繰り返さないためにここに記す。
 更に付け加えるなら、同じ江南エリアの珈琲美学という高級カフェも違っていた。

 このガイドブックが力説している通り、確かに美味しい珈琲を出す店であった。雰囲気もかなりいい。しかし、お店で販売しているお持ち帰り用の豆のパッケージを見ると神戸からの輸入品を使用しているようである。しかも、珈琲一杯が10,000ウォン!(ガイドブックには5,000ウォン)ソウルの物価を考えると激高である。周囲は芦屋か田園調布かと思うほどの高級住宅地だからか。勉強にはなったが、ソウル在住の邦人の方以外に行く価値があるかどうかは疑問。

*1:でも違っていたら教えてください

*2:写真の中のぐるっと丸一周が同じ魚売場

*3:韓定食では、お店の人が何もかもやってくれる。魚も、テーブルにのった瞬間、お店の人が食べやすいようにむしってくれるので、こんな姿に。