横浜美術館コレクション展1期

 「横浜ゆかりの版画家たち」の部屋が、掘り出し物多しだった。吉田千鶴子の蝶とか花とか、益田義信の魚顔をした鳥とか、山下清澄の怪しげな(美輪明宏の黒蜥蜴パンフレットの挿絵に使えそうな)作風とか。
 また「日本の肖像写真」の部屋の林忠彦の被写体の生活空間で撮ったシリーズの「坂口安吾」(「堕落」してます?=部屋の中が紙くず等のごみだらけで、足の踏み場もない)、「壇一雄」(「火宅」してます?=ごみはないけど、壁とか襖が崩れ落ちそうなほどボロボロ)という具合に、分かりやすいというか、分かりやす過ぎでワザとじゃないのか?と疑ったり、「三島由紀夫」は、瀟洒な家具とか螺旋階段が、大塚英志の言うところのシュミラークル(コロニアル様式=西欧のコピーなきコピーの部屋)ってヤツなのか、と思って見たり。
 コレクション展の方が地味と言えば地味だけど、意外や意外で面白かった。