若冲と琳派 きらめく日本の美 細見美術館コレクション / 横浜高島屋ギャラリー

 小学5年から高校を卒業するまで、実家の庭でチャボを飼っていた。猿ほど厳密ではないのだろうけれど、群れの中に序列みたいなものがあって、彼らはそれに則って生活をしているようだった。つまり、人間関係ならぬチャボ関係が常にそこにはあって、観察していると結構面白かった。血がダラダラと流れていても戦いを止めない若い雄鶏同士とか、雄鶏にこずかれて逆ギレする雌鳥とか、はたまた野良猫を撃退して、得意満面なボス鶏とか。
 伊藤若冲の墨で描いた鶏(=チャボ)の屏風絵を見ていたら、そんなことを思い出していた。若冲の鶏といえば、極彩色のシリーズがまず浮かぶのだが、墨だけでさっと勢いよく描いた今日の屏風絵の方が、よりリアルな感じがする。目の表情なんか生き生きしている。極彩色な方は、鶏というモチーフを借りた別の生き物のよう。もちろん、そっちの方も好きなのだけれど、あえて比べるとそういう違いを感じたということで。