荒木経惟 -東京人生-/江戸東京博物館

 そもそもは行く予定ではなかったのだけれど、一応、東京を離れるし記念に、と。ところが存外面白く。


 特に何が面白かったって、若いころのフィルムベタ焼きとか、スケッチブックにプリントをペタペタ貼り付けたお手製アルバムとかの展示。当たり前だけど地道な作業してたんだなと。あと、ベタ焼きを見てると、この人、初期のころから無駄なコマがないんだなとか。


 さっちんのような下町ではなく、街中のスナップシリーズを、この感じ、ウィリアム・クラインっぽくね?と眺めていたら、「ウィリアム・クラインみたいな写真撮ってたんだネ」みたいな本人コメントボードがあって、あららと苦笑。


 クラインの写真集「東京」(64年の作品。東京都写真美術館の図書室で今も閲覧可能だと思う)は、なんか日本人の顔がシュールっていうか、妖怪じみてるというか、この人、日本人のこと宇宙人か、ヘタしたら猿とでも思ってんのか、とにかく異物として捕らえてるんだろうなぁという感想を抱いたのだけれど、アラーキーのも近しい感じがしたのですよ。電通マンで、その上、日長一日中、広告の仕事らしい仕事もせず自分の写真ばっか撮ってた時期で、カタギとはいえない状態の人が、普通のサラリーマンとかファミリーとか、銀座をそぞろ歩く中年婦人とか撮ってるとこうなるのかしらん、とか。とにかく、普通の人なんだけど、異形相に写っている。本人はどの辺をクライン似と思ってるのかは分からないけど。