よい歯医者・悪い歯医者

 こんなに酷い目に今日、この日合う羽目になったのは3年前の夏にさかのぼる。

 犬歯とその奥の歯の間が激しく染みるので、駅前で便利がいいという理由で選んだ歯医者に行った。橋爪功似の歯医者は消毒をした後、早口に
「あー、あなたね、歯肉炎なの。ゴシゴシ力いっぱいブラッシングしなきゃだめよ。血なんてね、どんどん出ちゃってかまわないんだから」
と、御指導してくださるので、その通りに実行。

 が、1ヶ月経つか経たないかで、また同じところが、夜も眠れないほど染みてくる。そして、消毒。
「あなた、もう若くないんだから、歯茎が後退したって不思議でもなんでもないのよ。血出るまで磨いてる?」

 また、2ヶ月後、同じように痛むので消毒。しかも左奥歯の外側の歯茎と歯の境目に、初期虫歯があることが判明。削り取って治療。

 本当に、こんな状態で大丈夫なのか?と訊ねたが、他の患者も掛け持ちで診てるんだし、いちいち答えていられないよ、という態度。

 さすがに次に痛みがきたときには、病院を変えることにした。2チャンネルの街BBSで評判のいいところに。すると
「力いっぱい磨きすぎていて、歯茎が萎縮しちゃってますね。この調子だとどんどん歯根が露出して、歯がぐらぐらになってしまいますよ」
と、女先生に叱られてしまった。

 つまり、力いっぱいブラッシングしたおかげで、状況は悪くなっていたということだった。消毒することで、一時的に痛みは抑えられたとしても、マッチポンプ

 左奥歯に出来た虫歯は、固いエナメル質部分ではなく、歯茎が萎縮してわずかに露出してしまった象牙質部分に出来たものらしい。ああ、これもまた力強く磨きすぎたせいなのか。

 この女先生の下で、約2年半、歯石取り等の定期メンテナンス、ブラッシング指導についた。おかげさまで、以降、歯茎が痛むということがなくなったばかりか、萎縮してしまった歯茎が、かなり元に戻った。

 本来ならば、この4月が定期検診月だったのだが、引越しで行けなくなってしまった。ようやく落ち着いてきたし、予防歯科に力を入れているところを近所で見つけた。そこへ定期検診のつもりが、初回ということでレントゲンも撮られた。すると
「左奥歯のところの、前に治療痕の更に内側に虫歯の影がありますね。前の治療痕の隣のほんの少しだけ歯根が露出しているところに点のような虫歯が出来て、そこから横へではなく、中に入り込んでます。象牙質はエナメル質と違って、虫歯の進行スピードが早いんです。しかも密閉された内側ですし。前の定期検診は10ヶ月も前のことですし、見つからなかったんでしょうね。今まで何も痛みは感じなかったんですか?」
と、衝撃の宣告を受けてしまったのだった。

 確かにちょっと妙な感覚はあった。冷たいものを食べても直接、しみるわけではないのだけれど、何かこう歯が浮くような感じ。それを単なる知覚過敏だろうと勝手な判断をしていたのだけれど、間違っていたわけで。異変を感じたら、素人判断はせず即、病院。教訓として肝に銘ず。
 
 それにしても。

 何年も前の歯医者選びのミスが、未だに祟るとは。しかも、実際に前の詰め物を取ってみると、先生の予想以上に広がっていたらしく
「虫歯は神経まではギリギリ達しておらず、よって歯もその手前までしか削らなかったけれど、一週間様子を見て、もし、歯が痛むようでしたら、神経を抜く処置も考えなければなりません」
とのこと。

 怨みます、橋爪功似の先生。

 そして、つくづく思うことは歯医者には2通りいて、結果として間違った治療を施すことで患者を繰り返し来させるタイプと、いい治療をして患者を繰り返し来させるタイプがいるということ。

 前者は、患者が素人ゆえ間違ってることに気がつかないところがミソ。実は、橋爪功似の先生以前にも、全く別件でこのタイプにあったことがあります。後になって別の歯医者でそのことに気がつかされたのですが。そして、後者は治療だけでなく、予防に力を入れてくれる先生です。

 くれぐれも歯医者さん選びにはご注意を。