王様の漢方

　渡辺篤史の建もの探訪ではなく、「中国薬膳ライフ探訪」みたいな映画。一応、日中国交正常化30周年を記念し製作された日中合作モノ。万里の長城のすぐ側に住む漢方医の家に、渡辺篤史に率いられたワケあり日本人ツアー客が泊り込み、色々あった後、皆、癒されて帰っていくというお話。
　テンポがかなり悪い、というか大らか？？？なので、一般的にはあまりオススメはできないです。が、漢方というか薬膳料理に興味がある人にはいいと思います。珍しい料理が見られますし、さりげなく薀蓄も聞けます。
　鮑、フカヒレ、ともう一つ中華料理を代表する（忘れてしまった。残念。）乾貨は、越後屋等の商人を通して日本から中国に伝来したものらしいです。今の住友や三井ですねと、何気に日中交流の歴史にも触れるセリフが入ったり。
　初日に看菜料理を囲むシーンで、蛇やら蛙やら蠍やらの料理を目の前にツアー客の一種独特の腰の引けたリアクションが、可笑しかった。昔、北京の薬膳料理専門店に行った時に流れた重い空気と全く同じで。リアリティがありました。
　他には、万里の長城マニアの方もいいかも。かなり頻繁に登場するので。延々と流れる空撮も美しい。
　漢方医役で、ＮＨＫの「大地の子」でお父さん役をやってた中国の俳優さんがなんとも言えない、いい味を出してます。こんな穏やかで温かいオーラを持ったお医者様に看てもらえたら、それだけでカラダが良くなりそうな気が。