ピカソ展 躰(からだ)とエロス/ 東京都現代美術館

 想像以上にタイトルまんまの内容でした。ピカソのエロジジイモード、フルスロットル状態。爽快なくらい。
 最初の方の身体の変容と括られる展示の『寄生獣』の変形シーンみたいなのから、人間を頭からバクっと食べてしまうシーンみたいだなぁという感じの「海辺の人物たち」へと、次第に加速していって、寄生獣(5) (アフタヌーンKC)闘牛、ミノタウロスと妄想&バイオレンス路線を経て、最後の展示は、春画としか言い様がないです。
 実際、この部屋の解説ボードによると、歌麿春画を持ってピカソ
「芸術とは貞淑なものではない」
と友人に語ったそうでして。
 それにしても、春画の連作?は圧巻。くんずほぐれつしてるカップル(ラファエロとラ・フォルナリーナ)だけでなく、常に第三者教皇とかミケランジェロとか)がそれを見てるという構図が、何重にも渡る業の深さを表しているのか、いないのか。
 損保ジャパン東郷青児美術館で秋に見た「幻のジャクリーヌコレクション」(最後の妻所有のコレクション)や、去年見た「ピカソクラシック」(最初の妻と上手くいってた時代の作品が中心)に対し、今回のは敢えていうなら「愛人と肉欲三昧の日々」の作品群でしょうかね。
 そう考えると妻はわりにキチンと描く(描かされている?)けど、愛人はぐにゃぐにゃに変形させ、バラバラに解体し、作品上では時に強姦も殺しもありで、よくも悪くも好きなようにイジリ倒してる感を受けたのでした。天才の愛人になるのは、大変そうです。