遊びの時間は終わらない

遊びの時間は終らない [DVD]
これかなり面白いです。ゆる〜いサスペンス&コメディとでも言うか。もっと評価されてもいいんじゃないと思うくらい。笑いも外国みたいに、乾いてるし。
でも、この可笑しさが何処からきているのか、真面目に考えると怖い映画かもしれません。
防犯訓練で銀行強盗役を命じられた警官。署長の「臨機応変に」を真に受けて、オタク的ともいえる情報収集して、犯人像と計画を練り上げてただ突き進む。けれども、犯人役を忠実に演じる以外は、何もない空っぽな男。自分の意思や、アンチテーゼがあるわけでもない。そういう意味では『太陽を盗んだ男』と似ている。原爆を1人で完成させるだけの知識と実行力がありながら、それを使って要求することが自分の頭からは浮かばない。せいぜい、ナイター中継延長させることくらいとか。なぜなんだ、日本の若い男。
予定調和のやらせの訓練ごっこが一転して、筋書きのない本当の“訓練”になってしまったとたんに、組織としてのダメダメさを晒しまくる警察。大切なのは面子のみ。
視聴率、受ける受けないだけでこの“訓練”をあおりまくるマスコミ。そして、無責任にはしゃぎまくる野次馬。
この“訓練”というか“祭り”状態が、いつまでたっても終わらないのは、そこに関わる全ての人がそれぞれに、根本的なあることを見ていない、または、無意識に回避しつづけているからで。だから新聞紙で作ったお金も、本物になる。
1991年、バブルがはじける直前に製作・公開されたというのも微妙な映画。