思い出し

 それにしても。
 ただ、感想を正直に述べることに、なぜこんなにも勇気がいるのだろうか。世間や、その集団の中で一般的だと思われていることに、少しでも意を唱えること(悪口や誹謗ではない)。
 特に男性と話をしている場合、時々ですが突然
「俺を否定するのか」
みたいな切り替えしを受けて、驚くことがあります。そんな、アナタのプライドやアイデンティティに関わるような話をいつしていたのだろうかと。
 そんなとき、そもそもそんな大層な話をしているつもりもないので、場を和ませるべく、なーなーな態度をとるわけですが、すると途端にご機嫌になって
「ほら、やっぱり俺の言うとおりだろ」
と言うわけですね。こういう男性に限って。
いや、別にアナタの意見に賛成したわけでも、論理に打ち負かされたわけでもないんですよ。強いて言えば力関係に屈したということでしょうか。でも、まぁカイシャでは、それも仕方ないとあきらめてきましたが。
 人柄はとてもいいのですが、時々このような態度を取る知人がいました。
私もカイシャをやめてしばらく経ったこともあって、ふと、上司でも取引先でもないのに、なぜ合わせなければならんのだろうと、最近、それもまた些細な話なのだけれど、思い切ってなーなーの態度も、同意もせずにいたところ
「俺は言葉の暴力を初めて知った」
みたいなことを言われ、それっきりになっています。そんなに傷つけてしまったのでしょうか。
 言葉の暴力。それにも驚きました。彼がいつも私に投げかけているのと同じ口調で、彼の中の“世間は皆そう思っているはず”的意見に対し、初めて根気よく、だけど私は違うのです、こういう考えもあるのですと態度をはっきりしただけなのですが。
 【追記】
 chimadcさんへのお返事として。コメント欄って、長い文章だと自分が何を書いていたのか分からなくなってしまうので(笑)。
 まず最初に。「俺を否定するのか」男性は、必ずある一定の割合で存在しているのですが、裏を返せば、皆が皆そうなわけではないです。
 私がカイシャで出会ったそんな方々は、相手は男だろうと女だろうと、そういう態度を取っておりましたね。多分「上下関係」を中心に人間関係を図っているんだと思います。上には平伏、下には言いたい放題。ある意味、スジは通ってるんですが。
 そう、日本には男女の前に上下関係がありますよ。ただし、男女の関係はそのまま、上下の関係になっていることが多いのは確かですけどね。多分、知人はそのケース。知人という利害もない、対等な立場だけれど無意識に自分が上だと思ってる。
 それにしても、女言葉で怒っていることを示すのは、確かに難しいと思います。しみじみと。何より、真面目に受け止められないですから。イヤよイヤよも好きのうちとかね(苦笑)。
 更に付け加えるなら、宇都宮餃子を美味しいと思うかそうでないか、そんなレベルのたわいもない話なんだし、人格否定してるわけじゃないのに、否定してるって思われるのもイヤだし、かわいそうだし、それで「まー、いいか」となーなーにしているだけなのですが、面目を保ってあげること=俺の方が論理的に正しいに摩り替わって「言うとおりだろ?」って勝利宣言になるのが、訳がわからない(笑)。
 そういや「否定するのか」と言ってくるときには大抵、「世の中ではこうだ」「みんなもこう思っている」「業界の常識」「だから俺もそう思っている」という流れでしたね。「世の中」「みんな」つまりマジョリティを代表した意見だと。
 世の中の規範が彼の規範で(その「世の中の規範」が、得てして彼の中だけの思い込みに過ぎないとしても)で、少しでも意を唱えられると、そこでアイデンティティクライシス!?が起こるってことでしょうかね。