当たり前はすごい

駅前の中華料理屋で夫と晩御飯。餃子半額デーを狙ってひと月に1回くらい、ここでご飯を食べる。
 個性的なメニューもないし、味に対する特別なこだわりも薀蓄もない。炒飯、レバニラ炒め定食、マーボー丼などなど極めて日本化した中華メニューぞろい。せいぜい、化学調味料を一切使っていないとうたっていることくらいか。そのささやかなこだわり?も、メニューの隅っこに小さく書かれているに過ぎない。
 お店の作りも、至ってシンプルでありふれている。『渡鬼』の幸楽のような雰囲気。決してグルメ雑誌に載ることはないだろう。お客も肉体労働者風のおじさん、単身赴任風サラリーマン、学生さん、お婆さん、若いカップル、赤ちゃん連れの家族まで色んな人が一緒にいて、決まったの客層というものがない。けれども、いつでもお客でいっぱいで大繁盛している。
 餃子は具だくさんで皮がパリパリしていること、どれも野菜たっぷり(しかも、シャキシャキで新鮮!)であっさり目の飽きのこないお味であること、清潔であること、目の回るほどの忙しさでも客さばきがとてもスムースなことなどなど、当たり前のことが一つ一つ、ちゃんとしている。なにより普通に美味しい。
 このお店に来るたびに、当たり前って素晴らしいことだと思う。同時に、難しいことだなとも思う。