スパイ・ゾルゲ
とり合えずゾルゲ事件ってこんなんでした、という事実関係を抑えることはできるのかも。でも、3時間は長すぎ。NHKのドキュメンタリーだって、長くても1時間半くらいでできる。
それほど長い時間をかけているのに、ゾルゲと尾崎がスパイ活動に身を投じるようになる肝心の動機があまり伝わってこない。特に尾崎はナイーブ過ぎるヤツという印象しか残らない。立場の違いはあるけれど、韓国・北朝鮮それぞれの人々の切実さに比べて、結局は単なる頭でっかちで「自分探し」してた『KT』ASIN:B0001LNNXO の佐藤浩市扮する自衛官をなんとなく連想した。
本当はどうなのか。おかげで、ちゃんとした本が読みたくなってしまった。
中国で組んだセットとCGの合成は、巨大な書割の前で演技してるみたい。でも、あの妙な雰囲気をアートっぽい映画で意識的に使うことができたら、むしろ面白いんじゃないかと思ったり。
ああ、それにしても。戦前からアメリカは恐ろしい国だと再認識。経済という真綿で首を絞めてくる。
おまけ:戦前の絵葉書
骨董市でシリーズまとめ買いしたものの1部。満州における関東軍の比較的お気楽な日常生活を紹介しています。
お店の主人によると東北地方に行くと、今でも時折この手のモノが見つかるんだそうな。貧しい農家の次男三男は、こういうモノでも入隊しようかと心を動かされたのでしょうか。「スパイ・ゾルゲ」でも、このヘンの問題が触れられていたので。
元々、ヘンな絵葉書収集の趣味があるのですが、ちょうどコレを発見したとき、生の関東軍の検閲資料にあたるというお仕事をしていたという偶然もありました。「故国へ便り」を出しておりますが、兵隊さんが書くお手紙は検閲率が高かったですね。
ただ実際のところ機密に関連するような内容や、露骨に反戦的な内容で検閲に引っかかていた比率は、全体の割合からすると拍子抜けするほど少なく(限りなくゼロに近い)、案外、実家に対し
「上官のいびりがひどくて耐えられないから、母とか父が死んだことにして除隊を願う手紙を送ってくれないか」
「飯がまずい、少ないから送金頼む」
的なモノが多かったです。まー、軍的にはこういうのも外に出たら困る内容なんでしょうが。