はかなきもの〜木にプリントする写真展〜 長谷川迅太 / DAZZLE

 DMに使用されていた写真が、熱いまなざしの男性の両目のアップ、いかにも剥がれ落ちそうな木の皮のように見えたので「これは面白そうだ」と出かけていったのだが、その写真は作品の一部で、ボロボロの表面が剥がれかけた看板に描かれた男性の絵を撮ったものだった。Tシャツの転写プリントのように作っているらしく、木(ベニヤ板)に乳剤を塗って直接、焼き付けているわけではないらしい。
 写真自体は沼田元氣「ぼくの伯父さんの東京案内」(摩訶不思議な魅力のある本)ぼくの伯父さんの東京案内 に似た雰囲気のスナップ。ベニヤの地色が出るので、どれもややセピア調に見えるからか。
 隅に展示されていた、以前にやったという「コペンハーゲンにて」(正式タイトルは違っていたかも)というシリーズの方が、ベニヤ板の地色からくるレトロ感、かすかに見える木目の跡などの効果が、より生かされているように感じた。あくまで比較の問題なのかもしれないけれども。
 ギャラリー全体がベニヤの香りに包まれていて、図工の時間を思い出してしまった。写真なんだけれど、手作りの木工作品のような不思議な味わい。
 DAZZLE:http://www.netpro.ne.jp/~dazzle/exhbt/index.htm 5/2(日)まで