13階段           

 反町隆史と言えば「ポイズン」なんである。少なくとも私の中では。かつてナンシー関先生は「この歌(と、ともに彼自身)は数年後、恥ずかしいものの代名詞となるだろう」というような言葉を残された。そうだよなあと私も思った。
 ところが。「21世紀になったんだから、どんなことが起こっても不思議はないのである」(by えびボクサー
 「ビーチボーイズ」でも「GTO」でも「信長」でもない、別人のように地味な反町隆史がそこにいた。自分が犯した殺人の罪に、刑期が終わった後も悩める青年として、魂が抜けてしまったような姿で。むむむ。しかも、あの山崎努の渋い存在感にもそれほど負けてないのである。驚きだ。
 驚きといえば、宮迫博之も。ものすごく抑えた演技で死刑囚をやっていた。毎週水曜夜10時の番組でイエローキャブ軍団の「宮 さ子」役で「マンドリル!」をやっている人とは思えない。この映画の監督は、役者の隠れた才能を引き出すマジックでも持っているのだろうか。
 ♪言いたいことも言えないこんな世の中じゃ〜ポイズゥン♪今やネット上では、プロも素人も誰も彼も(私も)言いたい放題できる世の中になりましたよ。そして、ナンシー関先生は「13階段」を観る前にお亡くなりに。彼女がこの映画を観たとしたら、反町隆史という物件をどう再評価したのだろうか。興味はあるけど、かなわぬ夢。