六本木クロッシング/森美術館

 総勢57組!によるグループ展。それでなくても現代美術って分かりにくいのが多いのに、お一人様一点(一組)ずつ、ポツンポツンと並べられても、???なモノが多い。その辺を考慮してか、美術館では作品の解説パンフレットを手渡ししてくれるのだが、解説なしで回った一周目と、解説を読みながら回った二周目と、ほとんど印象が変わることはなかった。自分の身の回りや、実験と言うよりは遊んでるだけにしか見えない風景をたれ流す映像作品は、何とかならんのか?とか、汚いガラクタや落書きをただ無造作に広げてアートってどういうことよ?とか。
 そんな中でも、よいなぁと思った人たちを忘れないように。(順不同・敬称略)

  • やなぎみわ:「My Grandmothers」シリーズで、この人(とモデルの人)の示す未来観にはいつもワクワクする。
  • オノデラユキ:浮いているモノクロのシルエットがひたすらかっこいい。
  • 畠山直哉:作者は記録のつもりかもしれないけど、私にはとても美しいものに見える。崩れ落ちていく建物の1コマ、1コマが。
  • 木下 晋:鉛筆一本でこんな濃い大作を描く、その執念に脱帽。
  • タナカカツキ:ふわふわと空を飛んでる人影は、いい意味でかなりヘン。
  • 笹口 数:宙に浮く無数の黒い玉に想像力を掻き立てられる。
  • 中川正博:盆栽が人間に…。絵はどうでもいいが、立体(実物そのもの)はインパクトがある。
  • 小谷元彦:こんな映像ならこれからも見てみたい。でも、制作費どのくらいかかるのかな?個人で大丈夫なのかなとか。
  • 安村 崇:2年くらい前、最初にこの人の作品を見たときは、全く分かりませんでした。けれども、今なら分かります。一見ありふれているのに、かなりシュールな日本的「自然をなぞる」写真。
  • 西村康之:この象牙で作ったような、シャンデリアのような、そのいずれでもない、グルグル回るオブジェは、無意味なくせに過剰な装飾がされていて、なんだか圧倒。

 それと、会場内に展示してあったイスは、どれもかわいらしく、住宅事情さえ許せば欲しいくらいなのだが、それ以上でもそれ以下でもなく。あれは何を持って美術品としているのだろうか。デザインクオリティだけだったらイームズとかの方がセンスあると思うけれど、でもあれは美術品じゃなくて、工業製品。どこに違いがあるのやら。