インソムニア

 善人か悪人か、そのどちらかしかいない町なんてない。一人の人間にしたって、善人か悪人か、どちらかに一色に色分けするのは、なかなか難しい。

 公開時の宣伝では、猟奇サスペンスモノという印象だったけれど、蓋を開けたら、まっとうな心理サスペンスでありました。猟奇モノはそれほど好きではない私としては、思いがけず面白かったのだが、宣伝との落差を考えると、興行的にはコケたのも分かるような。

 ヒラリー・スワンクとの出会いは「マリー・アントワネットの首飾り」*1が最初だった。それを観たころチリ人妻の事件でワイドショー界が話題沸騰だったこともあって、彼女のことは「アニータ顔の人」と、それ以上でも以下でもないという形で私の中に記憶されることになった。けれども、結構、ちゃんとした女優さんだったのでした。やっぱり宣伝でもなんでも、最初の出会いは大事ということで。

 その逆の意味では、ロビン・ウィリアムスか。なんだかいい人役ばっかりやり続けていて*2、このところサイコな役を続けてやり出すようになったなと思ったら、若いころは結構、ワル*3だったんですねぇ。普通そうなのに、チラチラと見え隠れする怪しい気な感じがうまく出てるなぁと納得。

 アラスカの白夜の独特の空気と光の色が印象的。アル・パチーノは、ジジイになってかなり衰えてても、まだまだ色気があっていいですなぁ。

*1:彼女の役は、有力貴族から何百億円もの宝石をだましとるというものであった

*2:一度、世間に認められるとその後はいい人の役ばかりをやりたがるのを一説によると、ロビン・ウィリアムス症候群と言うとか言わないとか。

*3:DVDの特典資料によると、その昔、1日200ドルもコカインにつぎ込んでいたとか。