美術館チケットのダフ屋

ファン・ルナの「血の同盟」

 当日券チケット売り場の近くで、お金持ちそうな中高年の方々から「余ってるから」と無料招待券を譲っていただくことはかなりの確率であるのですが、この日ははじめての体験が。

 地下鉄の出口を上がる途中の踊り場で「美術館に行くんですよね」と声をかけられる。招待券を譲っていただけるのかしらと都合のいいことを思い「そうです」と返事をすると「さ、さ、300円で招待券を買いませんか?」

 その方は見たところ日に焼けた40〜50代の男性。こざっぱりとしたジョギングウェアにキャップをお召しに。ただし、何日もお風呂に入っていないと思われる独特の臭気が。

 650円の展示なので300円は悪い話ではないと思い、購入。そのやり取りが、こっちが心配になるほど一貫してオドオドされているところから、根が大変真面目な方がなんらかの形で招待券を手にいれ、初めてやるのかなぁと想像。彼の手元にはまだ2枚残っていた。