自治会という名の

 引越して早々なのだが、地域の自治会の総会になぜか出席することに。今までいろんな町を体験してきたが、自治会なるものは全く関わりがなく、私にとっては謎の組織。
 この総会の主な議題は、昨年度の事業報告と今年度の事業計画の承認。昨年度決算書の内訳を見て、予想以上であることが分かった。やはり、数字というのは如実に現れて面白い。
 総務費(自治会を維持するための費用)を除く、実質活動費の凡そ半分が「敬老費」「親睦旅行費」。役員および出席者は平均70代と思われる方々。つまり、数字上は自治会とは地域の高齢者の高齢者による高齢者のためのお楽しみサークルと思わざるをえない。当事者の意識は違うかもしれないけれど。
 そもそも総務費だけで全体の4割。この総務費も慰労費や、近隣自治会との交際費が結構含まれていたりでなんともはや。
 で、次に多いのは夏祭り費用。うーむ。なんだか、学生サークルが文化祭でたこ焼き屋やイベントをするのと何だか似てるような…。もちろん、それを楽しみにしている地域のお子さん方というのは、当然いるでしょう。
 ただし、前の町内で行われていた夏祭りというのは、盆踊りの櫓の周りを地域の高齢者による日本舞踊サークルや、地唄の会の人が、ここぞとばかりに張り切って歌い踊る発表会的要素が結構強かった。夏休み、お盆の時期は、小さい子供のいる若い世帯は田舎に帰省したし、旅行に出かけたりで、普段よりも少ないというのもあるけれども。この町の夏祭りは、また違ったものかもしれないので、今はまだ何ともいえませんが。
 もちろんお年寄りの皆さんが、楽しく健やかに過ごされることは、何よりいいことだと思います。
 ただ、地域住民から一律一世帯あたり3000円/年ほど徴収した会費と、助成金という名の税金で運営されている内容が随分偏ってる気がしないでもないので、会の名前を変えた方がしっくりくるんじゃないかと。でも、それじゃ身も蓋もないということでしょうか。
 おそらく、自治会なる組織が誕生したころは機能してたのだと思うけれど、運営している人たちが、そのままスライドして年齢を重ねてしまった結果のような気も。
 以前から我が社宅代表として参加されている方に話を聞いたところ、
「私もこういう総会くらいにしか参加しないの。それ以外のイベントなんかにお手伝いで顔を出したこともあるけど、おじーちゃん、おばーちゃん方に『何しにきたの?』って怪訝な顔されるだけだったしね」
とのこと。
 こんなことをクダクダと考えてしまうのも、id:eireneさん経由で「席を譲らなかった若者:http://rakudaj.seesaa.net/article/3130212.html」を読んだからか。
 広い意味で、つながっている気がしないでもない。
 私自身は、こんな光景を目にしたことが。
 ある地下鉄で、乗ってきた男子高校生と、降りようとしたおじいさんの肩がちょっとぶつかりました。すかさず、おじいさんが高校生に向かって大声で
「おい、人にぶつかっておいて失礼なヤツだな!」
 高校生は、一瞬びっくりした表情をしたが、そのまま黙って小走りに車両の奥の方へ。
 おじいさんは
「人にぶつかっておいて、ワビの一言もないなんて、最近の若者はなってない!」
と、高校生の背中に罵声を浴びせながら、降りていった。
 でも、ドアのすぐそばで見ていた私からすると、ぶつかっていったのは、どう考えてもおじいさんの方なんですね。
 なぜなら、ドアが開いた瞬間に高校生はおじいさんに気がついて、さっと横に足を踏み出していて。
 ところが高校生の後で、スーッと彼の身体に吸い寄せられるように、なぜか同じ方向について来たのがおじいさん。だから、怒鳴りつけられた高校生が、びっくりした表情を浮かべたのはよく分かるというもの。
 もしかしたらおじいさんにしてみたら、高校生を避けようとしたのかもしれない。が、いかんせん反応が遅く、しかもついつい同じ方向にいってしまっただけかもしれない。
 本当はお互いにちょっとタイミングが合わなかったな、という程度のアクシデントだったかもしれない。だからこそ、車内の乗客が一斉に振り向くような大声を立てなくてもよかったのにと。
 私はあの高校生が、この件でお年寄り嫌いになるんじゃないかとちょっと心配になったくらい。礼儀知らずな若者、困ったお年寄りというのも一部であって(「席を…」も同様)、全ての若者、お年寄りがそうというわけではないですから。
 
 ところで。

 総会出席者は全員、シルバー向けの交通安全の冊子をいただいたのだが(この時点でやっぱり高齢者限定なんだなぁ)、その中身の大方は高齢者自身は徒歩か自転車の状況で、車から身を守る、つまり高齢者自身が被害者にならないためのもの。
 実は、私などは、最近時々ニュースで見かける、高齢者がブレーキとアクセルを間違えて幼稚園児を引いてしまったといった、高齢者の車の運転ミス(過信)よる交通事故の方が気になっていたりする。
 それは私自身、普段、町を歩いたりしていても、横道から突然、車が飛び出してきて、運転席を見たらおじーさんだったりとか、ヒヤリとさせられることがあるからですが。
 なんというか、こういう意識のズレみたいなものが、もどかしい気が。上手く調整できることはないのかな、その方がお互いハッピーになれるのにと思う次第。