「よい歯医者」

 奥歯の噛みあわせを調節しつつ、今、この歯医者さんでは昔の虫歯治療跡の治療をしている。12年ぐらい前にアマルガムで詰めた数本をレジンに変えているのだ。アマルガムというのは銀色の詰め物。レジンは乳白色の一見しただけでは詰めてるとは分からない詰め物。アマルガムで詰めたところの周囲が黒ずみ、剥がれが生じていて、そこから新たな虫歯が発生しやすい状態であることと、アマルガムは水銀を含む物質で耐久年数も過ぎているし体にもよくないから、安全性の高いレジンに、ということ。

 12年前、市ヶ谷で働いていたころ、会社の健康診断で初期虫歯が1本見つかった。同じ職場のある人に「すごくいい先生だから」と紹介を受けていった病院で「他にも5つ初期虫歯があり、合計6か所の修復をします」と言われて治療を開始したのだが、1回の診察時間が10分程度と短く、少しずつしか治療が進まない。半年ぐらいかけてようやく5本の治療が終わったところで私は全く別の場所にオフィスのある会社に転職した。

 それで新しい職場の同僚に紹介してもらった歯医者に残りの1本を治療してもらおうと見せたところ

「それは、虫歯ではなく軽い色素沈着です」

 その歯は現在に至るまで、どの歯医者においても虫歯と診断されず何のケアもしていない。

 そして今回、アマルガムからレジンに取替えをする際に今の先生から
「いったい、いつこの治療をしたんですか?」
とたずねられたので12年ぐらい前と答えたところ
「もう、そのころにはアマルガムなんて(含まれる水銀や、10年ぐらいで交換しなければならないとかの問題から)ほとんど使う人はいないと思っていたんですけどね」*1

 市ヶ谷の職場の人の「いい歯医者」さんとは、多分「会社の健康診断の医者が見落とすような虫歯も探し出して、きちんと丁寧に治療をしてくれる。(しかも会社員が会社を抜け出せる時間を考慮して1回の治療時間は短い)」という点であったように思う。でも、場所を変わると全く違う面が見えてくる。健康診断で指摘された1本以外に治療をされた4本が、本当に治療が必要な虫歯だったのかどうか。


 今のこの先生が厳密に「いい歯医者」さんなのかは、やっぱり素人の私には判断が出来かねるのことではあるのだけれど、レジンに取り替えることに即、同意したのは見た目の問題。


 元々私は虫歯には縁のない人生を送っていたので、健康診断で1本見つかっただけでショック。それが癒えないうちに更に6本もの虫歯ホルダーに認定され、5ヶ所もの銀色の詰め物が入れられて…その心の傷(?)を埋め合わせるのです。
 

*1:ネットで見ると、レジンは70年代から使用が始まっていて、一方、現在もアマルガムを使うところもあるようなので、単に先生の主観・主義なのか。でも12年前、両者を比較できる情報が予め与えられた上でどっちで治療するかと聞かれたら、値段が多少高くてもレジンでお願いしてたと思う。