符合

 ある写真家に会う。

 自己紹介で最初に私は私の出身地を告げる。


 すると笑いながらではあるが
「アンタ、田舎の話はするなよなっ、あの辺じゃ写真家とか芸術やるやつは道楽モンの極つぶしって言われるんだよな。俺もいまだ道楽息子とか言われてるんだぜ、きっと」
と、彼は速攻で答えてくれた。


「だから私はプロフィールを拝見して、あの同じ地域文化圏から写真家になろうなんて、どんな人なんだろう、と思ったんですよ」

 
 彼に会ってみようと思ったのは第一に作品が面白い、第二に日本人では数少ないプリント(作品そのもの)収入だけで生活のできる作家である、ということ。

 
 そんな彼の名前を日本では知ってる人は少ない。私も会う機会がなければ知らなかった。あの超有名写真家も、この有名写真家もプリントだけでは生活できていない。


 彼の作品を評価するのは海外。でも田舎じゃ道楽息子。いや、だからこそ、か。

 
 作品を買うという文化がないから、何時までたっても写真家や芸術やる人は道楽モンなんだね。日本国は田舎の拡大バージョン。徳川家康スピリット。