MRI体験

 …と言っても、一般的なMRI検査がこうなのかどうかは分かりませんが。何しろ初体験なので。


 事前に「目には見えませんが、磁力渦巻く中に全身入っていくわけなので…」と何度も念を押されていたので、極力、金属は身につけないで行く。病院が用意する検査着に着替えるのだけれど、うっかり外し忘れたら大変だし。

 ブラジャーは、昔のヤツなら後ろのカギホックは金属だけど、小さいし、直接肌に当たらないからOK。けれども、最近のカップにワイヤー入りのヤツ(寄せて上げるタイプ)は、ワイヤーが熱を帯びて痕になる可能性があるんだとか。


 お化粧もNGですってよ、奥さん!どんな成分が入ってるか分からないから。例えば流行のラメ入りアイシャドウのラメは金属性。つけたままだと間違いなくまぶたを火傷するそうです。怖い怖い。でも、足に塗ったまま忘れてたパールのマニキュアは大丈夫でした。危ない、危ない。


 今回、私は全身でなく頚椎以上の測定。


 装置前に横たわると、スタッフの方々が「振動に非常に弱い検査ですから、絶対に中で動かないでください」と、頭をベルトで留め、わずかな隙間も綿等で埋めながら固定。首、肩も定位置に収まるよう、下に敷かれた型の上に乗っかるように置く。

 そして火葬されるお棺のように、横たわったまま滑るように機械の中へ。

 想像以上に中は狭い。閉所恐怖症の人は耐えられないだろうと思う。一応、気分が悪くなったとき用のブザーは手のひらにスタンバイしてもらってますが。


 凡そ20分間、目を閉じて寝てしまっても構わないとのこと。


 ところが、機械の中へ入る時点から、ドッ、ドッ、ドッと息が上がり気味の、早めの心臓の鼓動のような音に、ダースベイダーの息遣いに似たシュコーシュコー音がシンコペーションで耳に入ってきまして。


 その上、鼓動音が微弱なボディソニックのように体に伝わってくるので、自分の心臓が早くなっているような錯覚というか、緊張してないのに緊張させられてしまう。まるで地下の怪しい秘密クラブ(踊りを踊るところね。)へ続く階段を下りていくような気分。


 そして、機械が本格的に稼動するやいなや、ギギギィ〜ギギギィ〜と、エレキギターの外れたような音が大音量でかぶさってきました。コレが磁気の音か???


 逃げ場のない、ピクリとも動けない状態で、無理矢理、大音量のノイズミュージックを聞かされているような状態。


 狭さよりも、この音に耐えられず気分を悪くする人の方が多いに違いない。まして、この状態で寝られるわけがない!


 仕方ないので、この音楽(じゃないけど)、どこかで聞いたようなことがある〜、タルコフスキーの映画か〜、あ〜、エレキ音がスタッカートになった〜、わ〜音階がついてきた〜、と妄想にふけりながら20分間をやり過ごす。


 MRIノイズミュージックコンサートは、全4楽章くらい。チャージは5860円也。