豊かさプラス志向、マイナス志向

デジタルモニタ実験中

 京浜東北線では、最近、右の画像のように天井にモニターが搭載された車両に乗り合わせることがある。

 デジタルモニタと言うものらしい。無線LANを使って、駅に設置された無線伝送装置やコンテンツ配信センターからリアルタイムに配信される情報を表示できるらしい。

 具体的に言うと、次の到着駅周辺の美味しいお店情報とか、イベント情報といったものから、最新の音楽情報などなど。それらの情報はデータとして、各自の情報端末にダウンロードも可能になるらしい。*1

 今はまだ実験中。このデジタルモニタについての説明の映像と、デジタルモニタを開発した日本ユニシスの企業CMと、オマケ程度の各地の夏のお祭り情報が流てますが。

 その宣伝では、これからもっと電車の中が楽しくなる!とアピールしてます。でも、私はむしろ、息苦しさを感じてしまう。

 日本の生活をもっと豊かに!とうたってるけれど、豊かな生活って、こんなわずかな時間や空間の隙間まで、必要もない(必要、またはあると便利と思い込まされている)情報で埋めていくことなのだろうかと?

 私の豊かな生活的電車や駅イメージは、アナウンスや発進時の音楽がうるさくないホームとか、子どもが落下する危険性のないホーム*2とか、走行時の音が静かでイヤホンやヘッドホンの音量を下げて聴ける車両とか、通勤時間帯でもギュウギュウ詰めでなく乗れる、せめて本や新聞くらい広げられる車両とか、イスの数が多くすわり心地がいいとか…そんな感じなんですけどね。

 企業側の提示する「豊かさ」は、未だに現状に更に何かをプラスしていくことなのか。でも、私が望んでいる「豊かさ」は、過剰に思える現状から何かをマイナスしていくことの方が今は多くなっている。

 またはこれ以上、勝手に他者に生活を侵食されたくないというか。どこを歩いていても、外はうるさい宣伝だらけ。景観が悪いことこの上なし。

 また、このデジタルモニタの仕組みを使って、飲食店で店員を通さず、テーブルごとに置かれた端末から指タッチでメニューをオーダーできるようにもなるんだそうで。

 つまり、オーダーから清算まで、全てコンピュータで管理できるから、簡単便利。占いやゲームもモニターを通してできて楽しい。最新のCMも見れる。テレビ、ラジオ、雑誌等のイベント情報もバッチリ…だそうですが。

 効率的ではあるかもしれないけれど、豊か、とは違うような。

 事実をありのままに、ではなく何かどこか摩り替えて曖昧にすることで、何となく魅力的に。それこそが宣伝というものかもしれないけれど。

追記:JR東日本日本テレコム京浜東北線にデジタル中づり広告
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20050705c3b0504j05.html

東日本旅客鉄道JR東日本)と日本テレコムは12日、京浜東北線にデジタル液晶モニター型の中づり広告を設置した車両を導入する。無線LAN(構内情報通信網)を通じて動画でニュースや広告を流すほかFMラジオで音声を聴ける。無線を活用した列車内広告は初めて。乗客の反応や広告効果を見極め、他路線への拡大を検討する。

 京浜東北線(大宮―大船)の全83編成のうち、8月上旬までに2編成(合計20車両)に導入する。表と裏に17インチ液晶モニターが2画面ずつ並んだ装置を1車両あたり3台ずつつける。当初は日本テレコムの広告を表示して、9月以降に外部への販売を開始する。

 日本テレコムが編集・蓄積した情報を駅などに設置した無線伝送装置を経由して車両内に転送する仕組みだ。現在、JR山手線で流している動画広告は1日ごとに情報を更新するが、無線LAN方式は最新の情報を送信することが可能。乗客はパソコンや携帯情報端末(PDA)で情報をダウンロードできるほか、動画の音声をFMラジオで聴ける。

 なんか、車両内で見た告知広告で感じたニュアンス以上に、(機能面はともかくとして)目的は単なるアレ買え、このサービスに金払えっていうストレートな宣伝広告じゃん…。
  

*1:災害時の被害状況や、駅からの避難経路の案内等も流す予定だそうですが、まー、そのために作ったってワケじゃないでしょうし、災害時の情報対策は他にもやりようがあるわけなので。

*2:地下鉄南北線のシステムは、そういう意味では安全ですね。