親しくさせていただいているある年配の写真家の方から、最近、ワークショップで講師やりませんか?とか、雑誌に自らの手法について解説する記事に出ませんか?とか、後継者をなぜ育てないのか?とか、色々言われて困っているという話を聞く。この方は古典技法を取り入れた独特の製作をしているので、そういうお話があること自体は不思議でもなんでもないのだが、お断りを受けたあとの先方のリアクションというか、説得方法が素晴らしい。

 
 「こうやってこれたのも、あなた一人のことではない、周りの助けあってのことだから、年を取ったら、社会にお返しをすべき、なぜあなたはそれをしないのか、(お断りをすると)社会奉仕の心や思いやりがないみたいなことを言うのね」


 彼女に声をかけている団体とか雑誌って、今まで彼女のこと手助けしてたっけか?結局のところ彼女を引き込むことで「金儲けしたい」「写真人口を少しでも増やしたい」という、自分の利益のためにしてることなんだと思うんだけど。(もちろん彼女がやる気なら双方ハッピーですが)


 一人で地道にコツコツとやってたのに、それがちょっと注目に値することだとぱっと群がるオトナってやーね、っていうか、子どもの世界の生きにくさ、いびつさって最近、よく言われるけれど、年とっても、“個人”として生きるのって大変そうですね。


 それとも、これやはり彼女が女性だからですかね。男性写真家に「社会奉仕の心がない」とかって迫るところが、想像できないし。または、女性が一人で何かやり遂げたりすることはなく、周りに迷惑かけまくりって思われてるんですか。