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インストール コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]

 大島弓子のマンガ(でも寓話性や毒の部分はかなり薄め)、または薬師丸ひろ子とか原田知世主演の角川映画をしきりと思い出させるなぁと思っていたら、やっぱり角川映画。でも春樹さんは不在なので、角川タッチも薄めか。

 ヤクザの世界に足をつっこんだり(セーラー服と機関銃)、タイムトラベルしたり(時をかける少女)、一旦死んで幽霊になってみたり、リストラされた義父といっしょに便利屋を始めたり(大島弓子の映画化された漫画『四月怪談』『毎日が夏休み』)が、この話の場合、小学生男子と押入れの中で、人妻風俗嬢のふりしてエロチャットバイトをすることだと思う。学校生活という日常から降りて、非日常生活を通して世の中に触れる流れ。

 でも、「広くて深いエロの世界へ!」って主人公も張り切ってたりするわりに、突っ込みが浅い。ホントにエロオヤジ相手にやれてるのって思うぐらいに。純情な女の子の妄想レベルのオトナのエロの世界。

 エロチャットシーンを、花魁というより、禿(かむろ)姿の上戸彩のコスプレでイメージさせるのがギリギリのところか。まぁ、本当に「狭くて深いエロの世界」を覗いてしまう話だったら、アイドルの彼女が出演できる映画じゃなくなっちゃうか。

 それにしても、かつてのその手の映画は、なんだかんだ言いながらも、主人公は身体を張って色んなことを体験して、それで精神的に傷ついたりしながらも、世界を受け入れていく…という話だったんだけれど、これってバーチャルな世界で完結した、大した痛みのない話なんだなぁ。唐突に、脈絡なく最後に片思い男子が死ぬことぐらいか。

 原作は読んでないので、あくまで映画としての感想。

 けれども、映像はかなり面白い。どこにあるんだろう、こんな人工的でポップなニュータウンとか、部屋のインテリアもヨーロッパの映画風に色使いが凝ってる。それとシンメトリーに拘った撮り方とか。

 片思いの男の子と逢引の場所として何度も出てくる時計台は、「ねらわれた学園」っぽくてニヤリ。