レンタル暗室のごとく

 レンタル暗室に今日が初めてという方が来て、管理のおじさんが機材の使い方などを説明。
「(露出時間、カラーバランス調整に)悩んでるくらいなら、どんどん試してプリントした方がいいよ。考え込んでいる間も、レンタル時間として消えていくんだから」
というアドバイスが聞こえる。それは私も彼から何度となく言われたこと。


 だが、他人が言われているのを改めて聞くと、ふと人生も然りだなと思い至る。あーだこーだと考えこんで浪費するぐらいなら、何か行動を起こした方がいい。失敗したとしても。(お金で買える)時間は限られている。そして、一寸先は闇。

 
 そんな大げさなことを考えたのも、きっと、ドイツのアグフア・フォトが破産したことをおじさんに教えてもらったから。5/28の新聞にも出ていたそうで、今まで知らなかったのは、恥ずかしながら、最近いかに激しく新聞やニュースを見ていないかってだけのことなのだけれど。


 アグフアって、写真をやらない人には何それ?でしょうが、世界3大フィルムメーカーの一つです。他は、富士とコダック。デジタルの波に勝てず…ということらしい。


 昨年末、ここの暗室がリバーサルの現像サービスを止めてしまい、リバーサルフィルム(かつマット印画紙)でないと無理な、ヘンな作品を作っていた私としては大打撃を受けた。いざとなったら、以前のようにプリント職人さんにお願いすればいいのだけれど。

 そんなこんなで今年に入ってから、リバーサル以外でも何か面白いことはできないかと、アグフアのウルトラ100を使い始めた。他のフィルムでは絶対にこうはならない、という色が出る。好きな人はとりこになるし、嫌いな人は絶対に使わない。そんな超個性的なヤツ。


 なのに、破産ですか。一応、経営継続に向けて積極的に活動を始めたとか、アグフア・フォト日本には在庫が潤沢にあって製品供給は大丈夫等の続報をウェブで見かけ、とりあえず慌てて買占めに走らずとも大丈夫かなと一安心。


 とはいえ、やりたいことがあるならあれこれ考える前にさっさとやるべし、とは強く思ったのです。一寸先はどうなるか分からない。


 それにしても、アグフア。スカーラ(唯一のモノクロリバーサルフィルム)は、既に販売中止ですか。まだ、何本か持ってますが。10月までに現像しないと、それも打ち切りですか。面白い製品いっぱいあるのに、ダメなんですね。残念ですね。