萌え萌えルネッサンス
ベルリンの至宝展にあった、ボッティチェリの「ヴィーナス」。漆黒の背景から浮き上がった美の女神。打ちっぱなしのコンクリートを思わせるような床にたたずんでいる。ものすごくシンプルな構図。昔の作品なのに、不思議とモダンでシュールな感じさえする。
これはこれで、とてもいいな絵だなと思うが、ことボッティチェリに関しては「もったいないな」という気がしないでもない。なぜなら、ボッティチェリは「その他大勢の男子」を実に細かく描く人だから。
フィレンツェで散々、彼と彼以外の絵画を観察して(あくまで「研究」じゃなくて、素人の「観察」ですよ。)思ったのは、他の同時代の方は、絵画のテーマの中心人物はそれなりに細かに描写するけれど、それ以外の男子は結構、適当。
手抜き、とは違うのでしょうが、まー、絵画のテーマに沿った役割(寓意)が最低限、表現されておればいいって程度に思ってんじゃないのかな〜と。*1もちろん女性は、美しく*2描かれておりますが。
その点、ボッティチェリは違いますよ。表情や動きが豊か。特に天使の描き方が。
右の画像はウフィッツィにある「ザクロの聖母」。で、部分をさらに拡大したのがこちら。
天使というか、すんごい美少年に私には見えるんですが。ぐっと来ませんか?*3
ボッティチェリの絵は常に繊細な輪郭線に囲まれて、たなびく髪の毛も一本一本描かれているのが他の同時代人にない特徴*4。ある意味、絵の上手いマンガ家の書いたイラストみたい。
ヴィーナスとか、プリマベーラの女性像ばかりが注目を集めますが、彼の場合、その他大勢の男子が、相当、かな〜〜り、美しいんです。私もこの聖母みたいに美少年をいっぱいはべらせてみたいものですよ。ほほほ。