写真はものの見方を どのように変えてきたか 第1部 [誕生] /東京都写真美術館

 こっちはゴッホ展とは違って相変わらず空いてるので、じっくり見る事ができました(笑)。
 私は元々ハード的話は苦手なので、古典プリント技法の解説は、さっぱり分からないままだったりするのですが、それでも本でしか読んだことのないタゲレオタイプ(世界で最初に一般化した写真方式。鏡のように磨かれた銀の板に直接露光。)カメラの実物を見られたのはよかったです。
 ボックス内部からのぞくと、レンズを通して目の前の見学客や、会場の一部が見えるのですが、天地左右が逆になっている。
 日本の侍がパリの写真館で撮ったという展示品があったのですが、このお侍は左右が逆に写ることを分かっており、着付け段階で着物の合わせや刀等を逆にして撮影に望んでいる、という話に、微妙にヘンな着付けなのはそのせいなのかと納得。
 また、昔の写真は露光時間を非常に長く必要とするため、本当の初期のころ、死体を写したものが多かった(と言っても、おそらく近親者が死者の生きていた証として依頼したんじゃなかろうかと思われるような写真。安らかにベッドに横たわる姿とか、幼くして亡くなった赤ん坊とか。)という話も、なるほどなぁと。
 このタゲレオタイプは、フランス人による発明なのですが、開発段階から政治家がバックアップし、発表と同時にフランス政府が技術にかかわる権利の何もかもを買い上げた、というあたり、かの国の先見の明、というか相当なしたたかさを感じます。
 また、オスマン男爵によるパリの街が完成した後に、歴史的建築物を中心にした、パリ(フランス)の写真集とも言うべきものを国家で作りあげたようでして。当時としては国内外、両方に対して「フランス(自国)ってすごい!」と思わせる、大変なインパクトのある宣伝資料になったのではないかと。
 
 写真美術館10周年記念のなかなか面白い企画なので、2部「創造」以降も楽しみにしています。