戦後日本画の新風−横山操と中村正義/東京国立近代美術館

 常設フロア内の小さな企画コーナー。初めて見る作品でしたが、とてもよかった。横山操は、まるで巨大な木炭で書きなぐったような、骨太の力強い、直線的なタッチ。「塔」(焼け落ちたお寺の絵)も、「ウォール街」も、それぞれ異質な風景のはずなのに、等しく横山ワールドになっていてスゴイなぁと。
 かたや中村正義の方は、部分部分は伝統的な様式美(波の形とか)を踏襲してるのだけれど、全体を通すとなぜかシュールに見える源平海戦絵巻シリーズ。ユーモラスでもあり。
 また、常設展示作品の中の山脇昇『独活(うど)』も、独活の形が、擬人的に扱われているように見える。その擬人化、なぜか吉田戦車の漫画を連想。ただし、もちろん戦車はギャグへ、この『独活』はシュール側へ、方向は分かれてるけれど。少し赤みを帯びた皮の部分が、人肌に滲む血のようでもあり。