サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のフルーツコンポート/ブルーベリー
最近、これをトーストに塗っております。フィレンツェ土産。
店員さんは、これはフルーツコンポートであると言った。とはいえ、果物の原型はとどめておらず、食べた感じは限りなくジャムと言ったところ。いわゆる仏語でいうところのコンフィチュールではなかろうか。難しい。
有機栽培の果物を使用し、全体の70%が果実そのもの…と雑誌などで紹介されているようですが、中世の伝統を守っていると言うのなら、有機、無農薬、添加物なしが当たり前か。
だから、お味は極めて自然で素朴な感じだなと思う。美味しいです。
サンタ・マリア・ノッヴェラ薬局とは、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の修道僧が始めた薬局で、創立1612年。
実際にはさらに約400年も前から薬や香料を作っていたと言われ、ヨーロッパの歴史の荒波にもまれながらも、王侯貴族を中心に愛され続けた薬舗なんだとかで。うーむ。
現在では、教会が経営をしているわけではないらしいですが、製法その他は伝統を受け継いでいるのだそう。
有名なのは石鹸、香水。あの人喰いレクター博士も、『ハンニバル』でフィレンツェに潜伏していることが、ここの香水成分が手紙から検出されて分かってしまう。
ガイドブックなどで、お店の写真が出てますが、実際に行くと、入り口が余りに小さくて狭く、最初、かなり腰が引けました。一見さんお断りの京都のお茶屋さんの雰囲気にも通じるものが。
中に入ってみると、両脇に彫刻が並んだ廊下が。廊下を突き当たって左に曲がるとと、急にドーンと広い空間が広がります。そこが石鹸や香水、コスメティックのコーナー。
ハーブショップ(フルーツコンポートや、蜂蜜、ハーブティー、サプリメントなどの食品売場)は、さらに細い通路を通って奥の部屋に。
古い貴族のお屋敷をそのまま利用したような重厚なしつらえで、中は広々としているけれども、かなり暗いです。三脚なしの普通のカメラ(フィルム)では、写せないと思います。
その重厚さと暗さがあいまって、怪しげな雰囲気と言えなくもない。中世の昔、魔術と医療行為が渾然一体となっていた時代(ハーブを使った治療。または良い香りは、悪魔や病気を遠ざけるといった世界。)を彷彿とします。レクター博士が、ここの商品を愛用しているのも納得。いや、彼も小説上の架空の人物ですが。
というわけで、冷やかしで覗くだけでも面白い薬局ではないかと。
ちなみに、今日はじめて銀座コマツビルでも買えることを知ったのですが、なんと一瓶4,200円!!!ジャムにしては驚愕の値段。
おぼろげな記憶によると700〜1000円くらいではなかったかなぁと。意外に安いと思った印象が残っているので。引越しのドサクサでレシートを無くしてしまいまい、正確な価格は今となってはちょっと不明。