アナログとデジタルの間には
ネガフィルムの現像は、駅前の安い早いチェーン店に出している。自分でプリントをやってみてクレームではないが、思うところがあったので店長さんにいろいろお話を伺ってみた。
それで(私の思うところとは無関係なのだが)、わかったことがいくつか。
こんな安いところでも(いや、早く安く上げるためにこそ)、ネガフィルムをデータ化して、プリントを上げてるということだった。つまり、パソコンから特殊なインクのプリンターで出力してるようなもの。ゴミ・キズがあったとしても自動的に感知して、除去した状態で出力してますとのこと。
これは進歩なのか。
3年ほど前、メーカーギャラリーでグループ展をやったことがある。当然、印画紙はそこのメーカーのものを使うことが条件。
ところが後になって、ポジというかリバーサルプリントのマット紙は、そこのメーカーでは扱いがないことが分かった。
揉めに揉めた末、ラムダプリントでやることになった。ラムダというのは、大雑把に言うと高解像度でデータ化した写真を巨大プリンターで写真印画紙にプリントするもの。
ポジ用はないが、ネガマット紙なら取り扱いがある。一旦、取り込んだポジデータをPC上でネガ反転して、ネガ用マット紙に出力してはどうか、プロユースなので定価は高いが、グループ展だし勉強させてもらいます、とのギャラリー側からの親切なご提案だった。
ところが。
一応、なじみのラボの方に手焼きで焼いていただいた、キャビネサイズの見本を添付して「こんな仕上がりに」とお願いしたのだが、全くそのとおりの色にならない。同じフィルムをスキャンして、しかもフォトショップで調整かけてるんだから、手焼きよりはるかに自由度が高いはずなのに、全然ダメダメ。その上ゴミだらけ。こんなの展示できない。
ゴミの部分に大きく赤い丸をつけて「手焼きの通りに」と再度コメントをつけて、つき返し…を5回!も繰り返し、私の作品はおよそ3週間やり取りし、展示2日前にようやくOKを出せた。今でもかなり忌々しい思い出だ。
そのとき思い知ったのは、デジタル技術が進もうと、それを操作するヒトの力の方が大きい、という当たり前のことだった。どんなに高性能のスキャナーでも、ゴミ取りを怠れば作品としてはNGだし、手焼き職人のセンスとPC操作が巧みだということとは、別の話。
3年前はプロラボでもゴミ取りに四苦八苦してたのに、今や町のDPEでも(サイズおよびクオリティが違うとはいえ)自動的にゴミ取りしてデータ化、早ければ1時間でプリントを受け取れる。素晴らしい…。
でも。
自動ゴミ取り、キズ除去機能がついてるということは、フィルムを丁寧に扱わなくっても一向に構わないってことでもあるのかなと。自分でプリントをして、初めて小さなキズが無数についていることが分かりました。で、手焼きにはキズ除去機能なんてないので、白く写ってしまうのです。あああ。やっぱりフィルム現像は、プロラボに頼んだ方がいいのか。