パリ・ルーヴル美術館の秘密

 パリ・ルーヴル美術館の秘密 [DVD]
 フランスらしいドキュメンタリー。なぜ、そう思うかと言うと説明が一切ないから。
 ルーブル美術館の日常というか、100%舞台裏の風景とその空気みたいなものだけが淡々と1時間半流れるのみ。BGMもほとんどない。このエスプリが理解できる人間だけ、ついて来いといわんばかり。だから、途中で何度か眠くなることもありました。
 例えば、展示室内のあちこちで、職員が拳銃(空砲)を宙に向かってバンバン撃つシーンがあるのですが、一体何のためにやってるのか、観客は分からないままです。
 とはいえ、カメラは存在しないかのごとく、その場に溶け込んでしまっているので、職員さんや職場の生の空気は伝わってきます。展示方法について、ちょっと揉めてるところとかもそのまま(笑)。面白いです。
 それと、地下通路(ローラースケートで移動する人もいます)や、隠し扉?、大型の美術品を窓の外から搬入するためのバルコニーに作られた隠し切り出し部分、職員向けのトレーニング室(筋トレできるマシンがあります)等々、部外者は決して見ることのできない映像がテンコ盛り。
 ですが…。
 私が何よりスゴイ秘密を見た!と思ったのは、職員さんが皆、素手で作品に触れることでした。もちろん、丁寧にではありますが。
 特にびっくりしたのは、大きな絵画作品で巻物状に保管されていたものを、元のように伸ばすとき、絵の部分(ペイント面)に手をかけてコロコロコロと広げていったシーン。
 天下のルーブルがやることなので、間違いないのでしょうが、一点ものなんだし、白手袋しなくていいのかな…とか。神経質な日本人の発想なんでしょうか。または「何でも鑑定団」の見すぎ?
 保管作品がむき出しのまま床の上に並べられている部屋を、掃除機で掃除するシーンも、あんな風に大雑把にやってたら、いつか掃除機のホースが絵に当たるんじゃないだろうか、とか余計な心配でハラハラしたり。
 額縁の金箔を張り替えて修復する作業も、その方の癖なのか、必ず1回ずつ筆先で頭をなぜてから、金箔を筆に載せて、額縁に置いていたりして、あー、この人の髪の脂も永遠に保管されるのね〜とか。

 いやいや、こんな細かいことを気にしているようではいけないのでしょう。木を見て森を見ず。フランスの美術面の国家戦略はスゴイのですから。