あまりについていない日

 職場の社員さんの一人が今月いっぱいで辞めるということで送別会。
 出社日ではないので、有楽町で修理に出したコンタックスTVSを受け取った後、赤坂に。
 地下鉄を降りたところでプリントアウトした地図を出そうとするも、出てこない。家に忘れてしまった。しかも、携帯電話も同じ場所に置いてきてしまった。
 たしか出口は1aか1bだったよなぁと思っていたら、なんと両出口とも工事関係で封鎖。周辺地図上からも1a、1b出口が削除されていた。
 うーむ。これは参った。都会の真ん中で遭難しそうだ。赤坂は、私にとっては未だ降りたことのない地下鉄駅。なので、土地勘もなにもない。
 雪山と同じく勝手に動き回るよりも、ここは一つ冷静に。
 お店の名前は覚えていたので104で電話番号を聞いて、かけて、駅からの道順を教えてもらうと同時に、皆さんに遅れる旨を伝えてもらおう。
 やっとの思いで公衆電話を探し出し、自動販売機で飲みもしないジュースを買って小銭を作り、順番を待って104で「焼きはまぐり 赤坂八番」の問い合わせをした。すると
「そんなお店、登録はございません」
「赤坂ではなく、南青山になら『焼きはまぐり 青山八番』のご登録がありますが」
 とりあえず『青山八番』の電話番号を聞こうとするも
「お客様、今、100度数以上の残高のカードでお掛けになってますか?」
「いえ、10円硬貨ですけど」
 しまった。104は有料(1件100円)であった。百円硬貨を作るため、1000円を崩して、初めから『青山八番』の番号をたずねる。
 さて『青山八番』に電話してみると、話し中。何度掛けても話し中。ここで『赤坂八番』の番号を聞こうと思っていたのに、それも駄目か。
 もはや残されたのは野性の勘のみ。とほほ。
 各地下鉄出口をチェックして、ようやく1a、1bが残っている地図を発見。最初の予想通りのところだった。
 そこから、おぼろげな記憶を頼りにフラフラ歩いていると、横道から焼きはまぐりの匂いがぁっっっ!
 その匂いの先にありました。『焼きはまぐり 赤坂八番』。奇跡的。いや、雪山のごとく慎重に行動するよりも、最初から野性に任せて歩いてた方が、すぐに来れたような気が…。
 このお店で、私の生涯累計数を上回る大量の焼きはまぐりを一気に食べる。たぶん、15個くらい。皆も同じぐらいいっていると思われ。ここは「わんこ焼きはまぐりシステム」なので、「もういらないです」と言うまで、焼きはまぐりが出てくる。
 お店のお料理やお酒、皆さんとのおしゃべりはとても楽しめたが、いざ退職する社員さんにプレゼントを渡すとき。
 有楽町阪急で買った可愛いイラストが描かれたハート形スイスチョコレート。とても喜んでくれて、その場で中を開けて皆に見せてくれようと箱を開けたら……すでに一部が溶けてました…………。お店の荷物置き場の底の部分が暖かかったみたいで………。
 穴があったら入りたかった…。