点滴猫、その後

一人で実家へ。昨夏の猛暑を、点滴を打って生きながらえた猫に再会。半年前、瀕死の状態だったのが嘘のような元気ぶり。
 夜、すき焼きをしている横で、牛肉をくれくれとウルサイ。小さく切った一切れを箸でつまんで彼女の目の前にぶら下げた後、エサ皿に置く。魂を抜かれたような目でそれを追ってついて来て、パクつく。
 大根と金時にんじんのナマスを彼女の前にヒラヒラさせてみた。赤白の色目に騙されて、同じ目で追いかけてきた。皿の上で匂いを嗅いでから、初めてこれは違う!という顔をしていた。
 …と、食欲は旺盛なのだが、階段の昇り降りは辛くなってきたらしい。冬は二階の両親の布団の脇で寝るのが習慣だった。そこが真夜中でも確実に暖かいから。
 けれども今は、最初は多少のぬくもりが残っているものの、夜中には冷え切ってしまう居間のコタツ布団の上で寝る。二階へは、まったく上がらなくなった。もっぱら一階、しかも家の中のみが彼女の行動範囲。