職場の裏忘年会

 一次会は六本木のカウンター席だけの渋い焼き鳥屋。席の半分を、育ちのよさげな若い白人ダブルデート組と、常連オジサマ1人飲み客。残りが我々、30代自称負け犬女子軍団。(正確には私は既婚だが、お仲間ですよ。ほほ。)不思議な雰囲気。
 このお店の常連さん(57歳男性)が、つい最近、出会いから交際まで2ヶ月で別の常連さん(43歳女性)と電撃ゴールインしたらしい。いい話ですねぇと負け犬軍団。
 帰りがけに、シンプルかつオシャレで実用的なお店のカレンダーをいただく。ありがたい。来年の我が家のメインカレンダーはこれに決定。
 2次会は赤坂。1人の社員行き着けの、ハイセンスかつ健全な雰囲気の会員制バーに連れていってもらう。
 偶然にも、別の社員が通っている病院の先生が、看護師・薬剤師軍団を引き連れて、つまりハーレム状態でそのお店にいた。
 既に出来上がっていた先生、
「あっちじゃぁ、ぼかぁ疎外されてるんでしゅー」
と、こっちのテーブルに。
「子ども作りたかったらね、ぼくにいつでも相談に来てネ〜(先生の専門は脳外科)」
と、しきりに言って帰っていった。
 2次会をこのバーにしたのは、お誕生日ケーキを食べながら、祝われる社員(35歳になりました)のカラオケ発表を聞くため。
 彼女はバーのステージに立って課題曲『学生街の喫茶店』を無事、披露。続けて1人が好きだ!というので中島みゆきの『ひとり上手』、そして昔好きだったという聖子ちゃんの曲『野ばらのエチュード』にチャレンジするが、繰り返し出てくる
♪20歳(はたち)の…♪
の部分に口ごもる。やっぱ、この歌はもう歌えねーとのこと。
 「EXILEのじゃなくて、ZOOのですっ!」
と断りの入った『choo choo TRAIN』とか、工藤静香とかユーミンが続き、意外にみんな古い曲が好きなんだなぁと思う。
 私もお祝いの返曲に『いい日旅立ち』などを歌う。が、なにせカラオケすること自体が久しぶり。
 調子にのってジュディマリの『BATHROOM』を歌ったら、腹筋が相当衰えたことを思い知られることに。それだけでなく
「プーさんシャンプー♪アヒルちゃん♪とか、今更なにをかわい子ぶってるんだか」
とお叱りを受ける(笑)。
 我々以外にもう1組、30代初デートカップル(男の方だけ夢中っぽい)がいた。この女の方が竹内まりやの『駅』と中島みゆきの昔の暗い曲オンパレードでくるので
「初デートに、いくらなんでもそりゃないでしょ」
と皆で、密かに親指を下に立てる。歌はとってもお上手な方なのだが。男が千春の『恋』とか、口説きモードの選曲できていて、切なさを増してる。
 帰り際、実はあの先生が我々の分のお会計を済ませていてくれたことを知る。センセー、感謝です。というか、こういうところだと、30代でもまだ若い女の子なんですな。患者である社員は
「私、一生、あの先生の患者でいなきゃいけないかしら」
とビビッているけれども。
 何年かぶりに、都心で終電を無くすという体験をし、タクシーで横浜まで。割とタクシー自体がすんなり捕まったし、道路もスムースに進む。
 運転手さんに尋ねると
「明日あたりから忘年会シーズンが本格化するようだから、苦労するようになると思いますよ」
とのこと。