マティス展 プロセス・バリエーション/国立西洋美術館
平日の昼間だというのに大勢の人人人。こんな会期終了直前ではなく、早めに行くべきでした。
思いついたこと。
1.あの赤やら黄色やらの独特の壁紙の模様その他は、妄想・イメージで描いているのではなく、モデルから小道具から何から何まで、目の前にあるものを元にしているということ。
製作中の写真とか、フィルム映像、それに完成に至るまでの途中経過の絵を見て。何を今更…って感じですが、あの簡略化、様式化した絵柄は単なる妄想・イメージの産物と思いがちなので、一応、自分自身に確認しようと思いまして。
スタジオにセットを組んでモデルの写真撮影するのに同じです。最初の絵は比較的、写実的なんだけれど、だんだん歪んでいったり省略されたり、遠近感が変わっていくのは、撮影テクニックによる調整、及びフォトショップで加工するのと通じるものがあるのかなぁとか。
それにしても、一枚の絵に辿りつくまでに、何回も描き直し、そのプロセスまで一つ一つ写真で抑えておくとは。完成した絵はどれもとても軽やかに見えるのですが、画家自身は相当な粘着体質、ってことでしょうか。
2.切り絵はかなり普通に、継ぎ接ぎしてるということ。
例えば白い鳥のモチーフがあるとすると、白い紙一枚で抜いているのではなく(もちろん、そういう場合もあるが)、大抵は複数の白い紙を継ぎ足している。羽の部分とか。これは画集では分からない。展覧会で直接見て初めて分かった。
これが日本や中国の工芸品だったら、継ぎ接ぎなんてもってのほかなんじゃないかな。無垢の素材を一発で抜いたものを使用する。そこに神経を集中させる感じ。
他にも結構、ノリの跡なのか何なのか分からんけど、染みの跡もある。細かいことはあまり気にしないってことなのだろうか。
作品の型や精度を重視するか、新しい何かを生み出すことに全力を注ぐかの違いか。
中々、刺激的な展覧会でした。