マリオ・テスティーノ写真展/東京都写真美術館 

ファッション写真家と聞いていてあまり期待してなかったのですが、いやー、よかった!写真を使った現代の肖像画展のよう。とにかくサイズがでかい。けれども、でかさが圧迫感にならず、心地よい。
 スナップとポートレイト。ジャンルが違うけれど、以前、同じ場所でみたウィリアム・クライン『PARIS+KLEIN』に、共通するなぁと思っていたら、パンフレットによると、この方もウィリアム・クラインのファンだという。
 共通点は、見ていると元気になる、心地よいパワーが伝わってくるところかなと。
 被写体は世界の有名人、つまり自身がエネルギーのカタマリのような人々なのですが、その人たちの肩に力の入り過ぎない、自然なオーラを発してる状態が写っていて、見てる側としてはイヤミにならず、疲れないレベルの、心地良いパワーを受け取れるというか。
 普段、展示会場で作品リストを貰っても、それに頼らず直に鑑賞するのですが、これは見ながら方がいいかも。ひと目でそれと分かる人もいるのですが、意外な表情でパッと見ても分からない人もいた。第一会場のジュリア・ロバーツとか。ケイト・モスも、衣装やメークが変わると全く違う雰囲気の人になってしまう。
 マドンナも、いつもと違う素直でのびのびとした感じ。エリザベス・ハーレイのいかにも彼女らしいセクシーなやつと、全く素顔に近い感じのがあって、両方ともいいと思った。
 一方、どのカットもさわやかなお嬢様然とした雰囲気を崩さないグウィネス・パルトロウは、改めてイヤなヤツと(笑)。いえ、大したものだなと思いました。
 これらを見ながら頭に浮かんでいたのは蜷川実花のポートレイト写真集。どれを見てもすぐに彼女が撮ったものと分かる。彼女の個性・才能がスゴイのはよく分かる。
 けれども、最近の彼女の写真集はまるで、蜷川プリクラ。セットとメークで既に蜷川風で、顔の部分は、誰にでも置き換え可能じゃないかと。
 マリオ・テスティーノくらい、抜けた感じがあった方がもっと楽しいんじゃないかと思ってみたり。