アダムの呪い

アダムの呪い
最先端を行く遺伝子学者によるY染色体が自らが増えるための仁義なき戦い、または我が闘争について。事実と、そこから導きだされる仮説、さらには筆者の専門外の知識がプラスされた妄想が混然一体となった科学エンタテインメント本、とでも言うか…。
父系にしか受け継がれないY染色体、および母系にしか受け継がれないミトコンドリアの話をしてるのだけれど、女性と男性の間の社会的文化的深い溝というか、相容れなさの話と混同してしまいそうになる。それは書き手自体がそうだから。でも、そうやって読むと面白いってのも事実で。困ったもんです(笑)。ヘタすると郵便ポストが赤いのも私のせい、じゃなくて、戦争も貧富の差も環境問題もすべて利己的なY染色体のせいになってしまいそうな勢いです。
そもそもなぜ性があるのか。
単に遺伝子を混ぜ合わせるだけのためなら無性生殖でもOK。ただしその場合、同種である核遺伝子同士は問題ないけれど、細胞質成分(ミトコンドリアとか葉緑素とか)は、独自に存在するものだから、融合するときに、互いに相手を異物と見なして、勝負がつくまで殺し合いをする。それでは生き残った方も、ダメージが大きいので、そのリスクを回避するために、最初から細胞質間戦争の勝者が簡単に決まるように、つまり細胞質成分量に隔たりがあるものどうしが交配する仕組みをとるようになって、その究極の形が細胞質成分ありの卵子と、一切の細胞質を剥ぎ取った核染色体のみの精子、そして卵子だけを作るメス、精子だけをつくるオスの誕生ということらしい。かなり大雑把にまとめると。ここは大変面白かったです。生き物の基本的なことなのに、全くわかってなかったし。

そして、個人的に衝撃?の事実が。同性愛者の女性は、異性愛の男性の指と同じく薬指の方が人差し指よりも長いことが多いのだそう。(異性愛の女性の場合、両方の指の長さはほぼ同じ。)私、薬指の方が断然長いです。前にやった男脳・女脳テスト(『話を聞かない男、地図を読めない女』で有名になったワードです)でも、男脳度が高いらしく「レズビアンの可能性も大」とか診断されてしまい。とりあえずそうではないと思っているのですが、自分を偽って生きてるんでしょうか、私。