雪夜の告白

近藤ようこのマンガを本屋で立ち読み。立ち読みなんて久しぶりですよ。いい大人がやるもんじゃありません。でも、軽い気持ちでどんな内容か確かめようとペラペラめくったら、止まらなくなってしまった。
美人女優の醜い私生児、雪夜。雪夜は母を殺害(または本当は事故なのに、殺したと思いこんでいるか、その辺ははっきりしていない)し、葬儀の後、ひそかに整形し名前も変え別人(美女)となってひっそりと暮らすが、母にまつわる思い出から逃れられない。
 
美人女優とその私生児である娘、娘の母の殺害、そして変身ということで、ぱっと楳図かずおの『洗礼』*1を連想する。ただし、あっちは“容貌”“美”を巡って『白雪姫』のごとく、完全に母と美しい娘は対立関係にあるけれど、こっちは最終的には母とは和解しようとする。雪夜にとっては醜いことが真の不幸なのではなくて、ありのままの自分が愛されなかった(と思い込んでいた)ことだった。
淡々としているけれども、深いです。でも、やっぱり楳図かずおのメチャクチャな世界も捨てがたい。

*1:自分の脳みそをヒロインが素足で踏みつけるシーンは、子供心にトラウマになりました。